08/07/03
任意代理と法定代理2(民法102)
話を代理の問題に戻しますと、任意代理でも、例えば裁判するには、誰を頼んでもいいのではなくて、地方裁判所以上では法律上弁護士でなければ選任出来ませんが、これは代理人になる資格が法定されているだけであって、法定代理人ではありません。
酒屋さんからしか酒を買えない、医師免許のある人からしか治療を受けられないのも同じです。
酒を買うかどうか、どこの酒屋さんから買うかどうかは、個人の勝手と言う点が違うので,自由主義経済国家と言われていますが、こうした免許行政が行き過ぎると、本当に自由主義と言えるのか怪しくなってきます。
任意代理の場合、自然人が並立していることになりますので、「代理人は、委任者の意思に反した行為をしてはいけない」とかいろいろな場面が容易に想像できると思います。
これに対して、法定代理の場合は、代理される本人が代理人を指名する訳ではないので、当然ながら本人の意向に左右されません。
代表との中間的な存在と言えるでしょう。
この為かどうか分かりませんが、(当然学者は研究しているでしょうが、思いつきだけで書いている私は、今のところ分からないと言うだけです)後見人や親権者などの法定代理人は、条文上は、代理するとは書かないで、「代表する」と書かれています。
ここで、参考の為に「コラム民法99」でも紹介しましたが、もう一度該当条文を紹介しておきましょう。
民法
「第824条 親権を行う者は、子の財産を管理し、又、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。但し、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。
第859条 後見人は、被後見人の財産を管理し、又、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
- 第824条但書の規定は、前項の場合にこれを準用する。」
このように親族法では「代表する」と書かれているのに、民法総則の未成年者の条文では、「法定代理人ノ・・・」と書かれているのです。
民放総則を紹介しておきましょう
民法
第1編・第1章第2節 能 力
第3条 満20年ヲ以テ成年トス第4条 未成年者カ法律行為ヲ為スニハ其法定代理人ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス 但単ニ権利ヲ得又ハ義務ヲ免ルヘキ行為ハ此限ニ在ラス
- 前項ノ規定ニ反スル行為ハ之ヲ取消スコトヲ得
第8条 後見開始ノ審判ヲ受ケタル者ハ成年被後見人トシテ之ニ成年後見人ヲ付ス
第9条 成年被後見人ノ法律行為ハ之ヲ取消スコトヲ得 但日用品ノ購入其他日常生活ニ関スル行為ニ付テハ此限ニ在ラズ
このように、親族法では明白に「代表する」と書かれていても、財産法では、「法定代理人」として書かれているので、一般的には、親権者の行為は、代理行為であると考えられています。
ま、「本来の意味の、代表と代理の中間であるからではないか」と言う私の推測の根拠でもあります。
ことのついでに、代理に関する民法の条文を紹介しておきましょう。
民法
第3節 代 理第99条 代理人カ其権限内ニ於テ本人ノ為メニスルコトヲ示シテ為シタル意思表示ハ直接ニ本人ニ対シテ其効力ヲ生ス
- 前項ノ規定ハ第三者カ代理人ニ対シテ為シタル意思表示ニ之ヲ準用ス
この条文は、法定、任意を問わず、代理行為の通則ですので、どちらの場合も適用があります。
あたり前の話ですが、代理人が本人のために法律行為をすれば、その効果は本人に及ぶことになります。
本人に代わって行為する以上は、(例えば、土地を売ったり、買ったりする契約を代わってすれば、本人がその土地を自分のものにしたり、手放す・・逆に見れば代金を手に入れる結果=効果が出るのは)当然ですね。
第2項は、代理人の相手方が、本人に言わなくとも代理人に言えば、本人に言ったのと同じ効果があると言う裏返しの効果を認めたものです。
これが、認められないと、代理人から何かを言われた場合、、その場で、代理人に対して答えても効果がないことになり、別に、本人対して回答しなければならなくなって不合理な結果になります。
それは不合理ですから、代理制度を認める以上は、こうした条文がなくても、同じ効果が認められそうです。
その意味では、この条文はあってもなくても同じこと、すなわち念のため書いてあるだけの条文と言えないこともありませんね。
関連ページリンク
稲垣法律事務所コラム内:代理人に関するコラム
稲垣法律事務所コラム内:裁判に関するコラム
稲垣法律事務所コラム内:親権に関するコラム
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