08/06/03
親権者死亡と後見の開始(民法101)
ところで、離婚後親権者であった母親が死亡すると、父親が親権者になると思っている人が多いと思いますが、実は、親権者に復活?するのではなく残された未成年者のために後見が開始するのです。
次の条文を見て下さい。
民法
第1節 後見の開始
第838条 後見は、次に掲げる場合に開始する。
- 未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者か管理権を有しないとき。
- 後見開始の審判があつたとき。」
でも普通は、実の親が後見人に選任されることが多いので、結果はあまり変わらないように見えますね。
離婚前の正常な夫婦間では、どのような親でも、子が出生すると自動的に親権者に成れます。
その後に、あまりひどいときだけ、親権喪失の審判が下されたり、管理権を取り上げたりするだけです。
また民法の条文を見ましょう。
第3節 親権の喪失
第834条 父又は母が、親権を濫用し、又は著しく不行跡であるときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によつて、その親権の喪失を宣告することができる。
第835条 親権を行う父又は母が、管理が失当であつたことによつてその子の財産を危うくしたときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によつて、その管理権の喪失を宣告することができる。」
ところで、最近児童虐待事件について関係者が「何と行っても親は親だから、親がが引き取りに来ると、他人としてはどうにもならない」ような、説明がマスコミなどで見られます。
本当にひどいときは、弁護士に相談すれば、この規定によって、親権の喪失を求められるのです。
児童虐待の原因は、母親や父親だけを責めても、解決出来ない根源的な問題があると、私は思っていますが、それはまた別の機会に触れましょう。
話しを元に戻しますと、離婚後親権者になっていた母が死亡すると、父親が自動的に親権者や後見人にはなれず、この時点で父親が後見人として適格か、あるいは、後述の親権変更に値するかについて、家庭裁判所のふるいにかけられることになります。
そのうえ、仮に父親が後見人となっても、後見監督人がいる場合は、監督されるなどの違いが出てくるので、効果は大分違ってくるのです。
後見人は原則として、他人が選任されるのを予定しているのですが、実の親が子の代理する親権者の場合は、国家が口出しをしないと言う大きな違いがあると言えるでしょう。
民法
第857条 未成年後見人は、第820条から第823条までに規定する事項について、親権を行う者と同一の権利義務を有する。
ただし、親権を行う者が定めた教育の方法及び居所を変更し、未成年被後見人を懲戒場に入れ、営業を許可し、その許可を取り消し、又はこれを制限するには、未成年後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。」
以上のとおり、離婚後親権者が死亡すると、後見人の選任しかないのが法の原則ですが、後見人がすでに選任された後でも、片方の親が特別事情を裁判所に申し立てて、親権の変更を認めてもらう方法が、名古屋高裁の判例で認められています。
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