08/04/03
訴訟能力 1(民事訴訟法 7)(弁護士相談のタイミング)
次に訴訟能力に関する民事訴訟法を見て行きましょう。
(未成年者及び成年被後見人の訴訟能力)
「第31条 未成年者及び成年被後見人は、法定代理人によらなければ、訴訟行為をすることができない。
ただし、未成年者が独立して法律行為をすることができる場合は、この限りでない。」
民事訴訟法では、本人訴訟が基本となっていて、弁護士強制主義ではありません。
でも実際は、普通の人でも、裁判は、弁護士に頼まなければなかなかうまく手続きを進められません。
原告になる場合(自分で訴えようとする場合)には、やはり不安ですので、自分の考えで勝てるのかどうか、書き方はどうかなどの法律相談を全くしないまま、いきなり訴状を書いて訴える場合は、滅多に考えられません。
そこで今では、原告になるような場合には、ほとんどが弁護士が代理人についていることになります。
ですから、未成年者に訴訟行為能力があろうがなかろうが、どうせ弁護士に頼むのだから同じだろうと思うでしょうが、弁護士が誰から依頼されるかが問題なのです。
自分で裁判をしない時代となった今では、能力のない人から、委任されたかどうかが中心的問題になります。
訴訟能力の問題が、誰から頼まれたかの問題であるとすれば、未成年者から頼まれたか成人から頼まれたかによって、弁護士の訴訟能力に差が生じなければ意味がありません。
ところが、現実社会では、未成年者から頼まれようが、その親から頼まれようが、受任した弁護士としては、事件の内容を吟味して勝敗を予測し、判断していく作業に相違はありません。
ただ、弁護士の方で、話しをきいていると、少し惚けてきてないか、判断力に問題がないかと心配することがあります。
そう言う場合は、子供がいないのか、いたら今度一緒に来て貰えないかとか、奥さんと一緒に事情を聞きたいとか言って、争いの実情そのものを正確に知るためにも、(これが正確でないと、勝敗の予測がたてられません)補助的な人材を求めることはあります。
少年の場合を考えてみると、いじめやその他の事情は、結局少年本人から聞かねば何も分かりませんので、両親は補助的役割りでしかありません。
そうなると、誰が頼んだかによって訴訟遂行能力に差が出ることは考えられないのです。
こうして考えると、誰が頼んだかによって訴訟遂行能力には差がなくても、弁護士に依頼した方がいいかどうかをきめる能力が、あるかどうかが、重要性を持つ、すなわち能力判定の基準になってくるように思います。
話が変わりますが、かなり高度な能力がないと、いい勝負どころで弁護士に話を持ち込むことが出来ないものなのです。
野球の選球能力と同じで、「ここぞ、」と言う時に来ないで、時期を失してからの相談が多いのです。
先日「法律相談の重要性1〜2のコラム」で相続放棄の手続きをしてしまった後で、相談に来たために、どうにもならない相談の事例を紹介しました。
「03/31/02 法律解釈と、事実の説明 」で紹介した事例は、相談者が誤って、自分達相続人が債務者になってしまったと思いこんだ上で、その相談に来たのですが、偶然、熟慮期間中であったので、債務を相続しないで、助かった事件でした。
早すぎてもダメですから、こういう事態になったら、また来て下さいと言っても、うまいタイミングで相談に来ないで、チャンスを過ぎてからやってくる人もいます。
そう言う意味では、どのような有能な弁護士が身近にいても、結局は本人の能力以上のことはないと言うのが、これまでの経験で得た結論です。
その意味では、「訴訟能力と言っても、単に弁護士に頼むだけの判断力の問題に過ぎない」と言っても、子供と大人では更に多きな差がありますから、けっこう意味があります。
ところで、この条文は、すでに、訴えが提起されている事件について、その弁護士が、未成年者から頼まれていた場合、その手続きが無効になると言うのですから、弁護士が代理している場合には、先ほどの私の考えから言えば、余計な規定と言うことになりそうです。
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