08/28/02
慰藉料について 5(交通事故その他原因によって金額に相違が有るか?)
同じ怪我、例えば全治5ヶ月の受傷ならば交通事故によるのか、労災事故、飛行機事故叉は、ケンカで骨折したのか、医療ミスかによらず、その間の精神的苦痛は同じように思いますが、考え方によっては、違いが有るとも言えるのです。
その考え方とはこういうものです。
交通事故は加害者被害者に互換性が有る。すなわち、車の運転者が歩行中被害者にもなる事も有るから、という理由で慰藉料額が比較的低く押さえられている。
しかし、一方的に被害者にしかならない公害や医療ミスなどは、違う考慮が働いて(もっと高額で)良いのではないかと言うものです。
あるいは、犯罪叉は、犯罪的被害者に対しては、交通事故被害の規準より高くて良いのではないかと言うのも有ります。
この考え方の根底には、裁判実務上、交通事故の慰藉料が低すぎる、更には、入通院を伴わない各種の精神的苦痛に対する慰藉料額が、低額に過ぎると言う認識が有るようです。
交通事故の規準表自体が低額過ぎるかどうかについては、人によっていろいろな考えが有ると思いますが、交通事故の規準表は、身体傷害を対象にしていますので、『これを規準にすると、そこ迄至らない嫌がらせなどによる精神的苦痛は低額になりがちだ』という点は私も同感です。
この結果、交通事故と他の被害を区別して、一方的被害者であるから、或いは(公害企業に対しては)懲罰的に特別に高くしろと言う考えが出て来ている様です。
でも、私は、こうした考えよりも、そもそも入院するような怪我の方が、精神的な苦悩だけの人よりも、損害が大きいと言う考え方を、改めるべき時期に来ていると思います。
いじめにあって自殺する程苦しむし人も居ますが、自殺すれば死亡損害として交通事故の規準表の基づきその割り増し請求(後述参照)をして解決出来ますが、そのギリギリ直前の人が賠償を求めると、一ヶ月分の入院慰藉料も認められるかどうかと言う運用に問題が有ると思います。
生活水準が向上すると、生活必需品である食品等よりも、お洒落用品の方が高くても売れるのと同じで、先進国においては、出血の有る怪我の方が精神苦悩だけの人より慰藉料が多くなければならないと言う考え方を変えられないかと言うのが私の考えです。
もっとも、交通事故の規準は、加害者の過失を前提にしていますので、故意に叉は害意を持って、受傷させられた時の被害感情は、より強いのは当然ですから、私の考えでも、そうした場合(犯罪被害等)交通事故の規準表を利用しながら、その割り増しを求める事になります。
以上の慰藉料についてのコラムを終えますが、コラムの意見は、前記の研修会の意見の紹介では無く、此れを聞いた私が、いつもの通り、独自の考えを述べただけですので、誤解のないようにお願いします。
©2002,
2003, 2004, 2005, 2006 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design
/ Maintained by Pear Computing LLC
