07/23/08
危機管理能力の欠如2と玉砕志向
昭和43年には、日本のGNPは西ドイツを抜いて世界第二位になり貿易黒字の削減のために輸出削減を求められている状況でしたから、ニクソンショックの昭和46年8月15日当時は、1ドル360円の交換比率是正が大きなテーマになっていたのです。
日本は、このときの10カ国蔵相会議のメンバーでもあったし、日本の経済学者や大蔵省の役人が、世界経済の動きからつんぼ桟敷だったことはありえないのです。
にも拘らず、世界情勢の激変には、「・・ショック」としか受け止められなかったのは何故でしょうか?
日本との為替交換比率変更を大きな標的にしてアメリカとの協議が続いていたのですが、時間稼ぎに終始する悠長な話し合いでは埒が明かないと見て、アメリかが強硬手段・・交換停止・・一種の宣戦布告に出るまで事態を甘く見ていたのです。
その見通しの悪さを棚に上げて、新たな緊急事態となっても、ショックとしか受け止めずに、従来の対応のまま、従来型の円高阻止政策が国是とばかりに、ドルの買い支えを続け、玉砕まで突き進むしか出来なかったのは、恥ずかしい次第です。
「国民が納得しないから」という甘えの精神ではなく、冷徹な国際政治・国際経済の動きに合わせ修正すべきは修正して行く合理的政治が存在しないのです。
見通しが悪いことが分かっているのに、玉砕まで突き進む選択しか出来ない政治家は、私に言わせれば、彼らの行動基準には自己保身だけしかなくて、国益を考えて行動する大きな度量がないと評価すべきです。
日米開戦に際して、海軍(山本五十六)は、「アメリカにはとても勝てないが、1年2年程度なら何とか暴れて見せます」と言う形でこれを引き受けたと伝えられています。
(小説の会話部分ですから眉唾ですが・・・これが国民に人気があるところに問題があるのです。)
名将山本五十六の逸話は、いかにも、武士道的美談ですが、もっと大きな人物・・将来負けが決まっているならば、自分の職を賭してでもその場で開戦に反対すべきだったのではないか・・その程度の腹の据わった人物が誰もいなかったのか?と言うのが私の今回の意見です。
もちろん、私がそういえる人物だと言うのではなく、(私自身は小物です)国家を背負うべき人材ならば・・・と言う意見です。
北朝鮮問題や農産物交渉もそうですが、世界の趨勢にかかわらず
「こんなことを承諾したのでは、国内が持たない・・。」
などという訳の分からない理屈で、国際交渉を玉砕覚悟で推し進める傾向があるのが心配です。
国際関係は、甘えの構造で対処できるほど甘くはありません。
冷徹な国際力学・・経済実態に合わせて決断し行動する胆力が必要です。
その上で国民が納得しないなら、いつでも腹を切る覚悟のない人が責任者では困るのです。
いつも国民におもねていて、腹を切る・・責任を取る人もいないから、国民の方も「国際政治上やむをえないか」という冷静な思考方法を磨く訓練のチャンスがなく、合理的判断力が育たないのです。
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