07/20/08

ドル暴落の恐怖3(紙幣の濫発)

もともと貨幣の金交換停止(ニクソン・ショック)によって、世界中の貨幣発行量に対する物理的歯止めがなくなった以降、徐々に貨幣発行量が増加し、かつ信用創造機能が拡大しているのが原因で、ドルだけではなく世界中の紙幣そのものに対する信認が揺らいでいる(インフレ期待)のです。

紙幣の信用喪失過程についてみておきますと、近代における世界中の貨幣は金または銀の裏づけで発行されていたものですが、1931年(昭和6年)の欧州諸国の金交換停止、わが国では、同時に金の輸出禁止で事実上交換を停止して以来そのまま兌換されなくっていました。

1942(昭和17)年には日本銀行法を制定し、日銀券は当初から兌換性を持たないものとされたのです。

それでも、金の輸出が禁止されただけで、兌換を前提とする明治の貨幣法自体はそのまま残っていたのですが、昭和62年に新貨幣法が制定され、ここに始めて兌換性を認めていた明治の貨幣法が廃止され、兌換の停止ではなく廃止されたのです。

 

通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律
(昭和六十二年六月一日法律第四十二号)
 附 則

(施行期日)

第一条  この法律は、昭和六十三年四月一日から施行する。

(通用を禁止した貨幣紙幣の引換えに関する件等の廃止)

第二条  次に掲げる法律は、廃止する。

一  通用を禁止した貨幣紙幣の引換えに関する件(明治二十三年法律第十三号)

二  貨幣法(明治三十年法律第十六号)

 

兌換紙幣から不換紙幣に移って行く過程については、10/02/07「金銭消費貸借契約とは?2(不換紙幣)」や、01/16/07「不換紙幣と中央銀行の独立性1」以下の連載で紹介しました。

以上のように、戦前の大恐慌以来、アメリカを除く世界中が金との交換を停止したままでしたが、アメリカとの交換比率が固定あるいは市場で決まれば、結果的に世界中の貨幣がアメリカを介して金との交換比率が保障されて、一定の規律が守られていたのです。

最後の頼みの綱として金とつながっていたドルが、金ドル交換停止をしてしまったので、以来ドルは、本来的意味での基軸通貨ではなくなったのです。

かといってどこの国も自国紙幣と金との交換をしていませんから、紙幣発行量が、金との交換による歯止めがまったくなくなっているのです。

言うならば、政府発行紙幣か民間発行紙幣・・百貨店共通商品券やカードかによる発行元の信用の違いだけであって、本質的違いがなくなって来た社会です。

 



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