07/05/08
低金利政策と国民経済5(投資判断の尺度)
ここでは、金利と輸入物価だけで書いているのですが、上記のように不景気になったときには、政府が何もしなくとも不景気自体で逆資産効果が起きる上に、(配当収入も減るのですが)金利が上がれば設備投資が抑制され不景気がより深刻になり、物価も下がる代わりに株価下落などの逆資産効果が生じますので、ことはこんなに単純ではありません。
ただし高金利政策が投資抑制に働くのは、過去の話であって、今の大手企業では借金経営が少ないことと、現在は資本市場からの調達が多いのですから、それほどの影響はありません。
金利の高低によって、あるいは貸してくれるかどうかによって投資を決めるのではなく、・・他律的決定の時代ではなく、工場新設→稼動させて売れるかどうか・・需要があるかどうかが合理的投資決定の基準であるべきでしょう。
半導体工場や液晶製造工場の新設は、あるいは高炉新設などの判断は、需要の見定めが第一次的関心であって、借金できるかどうかは二次的な筈です。
トヨタでもロシアに進出するかどうかは、借金できるかどうかではなく、現地工場が成功するかどうかです。
従来型低金利政策にこだわる人は、需要喚起のために、低金利にするのだと言うのでしょうが、その分物価が上がったのでは意味がありません。
6月26日ころに、アメリカ連邦準備制度理事会による低金利の現状維持の発表がありました。
この決定を見て・・金利上げがないことによるドル安の激化にとどまらず、ニューヨーク、ダウ平均株価の連日下落となっていましたが、これは、今の時代には低金利政策の方が、総合的に見てマイナス効果が大きいことを物語っているのでしょう。
アメリカだって、今は過去の慣習にとらわれず、(おこがましいですが、私の意見に従って?)高金利で逆張りをすべきなのです。
逆資産効果まで行かない金利生活者・・消費生活オンリー層と逆資産効果に脅かされるほどの資産層(投資家)とでは、受ける効果が違うのです。
ただし、その中間で少ししか株式等有価証券を持っていなくて、これが下落する損害は小さくて物価の上下の方が生活全般に与える影響の方が大きい階層もあります。
また、貧乏人でも信用買いをしている人がいる時代ですから、ちょっとした相場の変動で、大きな損失(逆レバレッジ効果)をこうむる人がいますので、今は貧乏人には高金利は関係ないとは一概にいえません。
ここでは、両端の分かりよい例を出して書いているだけです。
いずれにせよ、低所得層は人口の大半を占める国が殆どですから、不景気や資源高騰があると真っ先にこれらの階層の生活が逼迫します。
これが政治問題化し易いことから、政権担当者としては、何が何でも一種の補助金である・・・金利収入者の収入を奪って、利払い層に所得移転する・・・低金利政策となってしまうのでしょう。
関連ページリンク
©2002,
2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design
/ Maintained by Pear Computing LLC
