07/05/08
低金利政策と国民経済4(ドル防衛の成否)
この原稿は、実は10日ほど前に書いておいたものですが(ブッシュ大統領がドル下落に関する異例の言及時のものです)その後6月26日の新聞では、アメリカ連銀は金利を引き上げられずに現状維持にとどめた(・・口先介入しか出来ないことが露呈した)ことが報道されました。
予想どおり、6月27日の新聞ではアメリカの株価の大幅下落・ユーロの上昇(ドルの下落です)が報じられました。
ここで、アメリカが国内金利を上げるのは、国民に対して能力以上の消費を戒める結果になる・・・消費大国で通して来たアメリカにとっては、常識的に言って厳しい結果が待っているので、それが簡単に出来ないのです。
アメリカ全体では、国内総金融資産を国民数で割れば、一人当たりの金融資産は大きいいのでしょうが、ビルゲイツのように一人で巨額の資産を有する人・・貧富の格差が大きいので、人口比で言うとマイナス人の方が大きい社会かもしれません。
消費者信用に頼る低所得層が多い社会では、政権維持・・人気取りのために全体の経済政策的視点よりは、当面の不満を増加させないために低金利に傾きやすいのです。
これは、この後に価格転嫁のコラムで書きますが、ガソリンなど生活必需品に対する補助金政策が、どこの国でも多用される基礎的思考法です。
大きな目で見た国益を守るために、第二次世界大戦後のイギリスがポンド防衛で長らく苦しんだように、国民に耐乏を強いることが出来るか否かと言うところです。
今度のアメリカ民主党大統領候補選挙の結果をみると、こうした我慢をアメリカ国民に訴えることは不可能に近いのではないでしょうか?
よそのことに口出しする暇はないですが、アメリカの相対的国力が低下してきたのは事実ですから、長期にわたる貿易赤字の累積がボデイーに効いて来たのですから、無理しないで実力相応に振る舞うのが正しいでしょう。
金利を上げないままでいるとその結果、ドル安に傾くのですが、それでは輸入物価が上がるので、これまた庶民は大騒ぎになります。
金利を上げてドル高に持ち込めば、輸入物価は下がるものの、サブプライム問題で傷ついているアメリカ国内経済は金融引き締めで大変なことになります。
借金層にとっては、金利が下がって、輸入物価が上がっても、その見返りに利払い額が減少するので差し引き同じですし、金利が上がってドル高→輸入物価下落しても、利払いが増えるので結局同じ(中立)です。
これに対し、無借金層あるいは低金利政策は金利生活者にとっては、金利が下がって損をした上に、(不景気の場合、配当収入が減少しあるいは株価も下落します)国内物価の下落がとどめられ、逆に輸入物価の上昇によって総体としての国内物価が上がるのでは、踏んだり蹴ったりというところです。
これに対し高金利政策は、有資産層にとっては受け取り金利が上がって、購買力が上がる上に、国内物価、輸入物価が下がるので一見いいこと尽くめのように見えます。
関連ページリンク
©2002,
2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design
/ Maintained by Pear Computing LLC
