07/02/08
民事再生法11(給与所得者再生)
以下、ことのついでに再生手続きの説明に入っていきますが、給与所得者再生は、厳しい生活水準の設定があって、使い勝手が悪いのです。
241条2項7号にあるように、可処分所得の2倍以上(2年分という意味です)の支払いが義務付けられています。
一般的には、可処分所得というと、貸金業法に記載する過剰貸付禁止の場合のように、ゆとりのある生活ですが、ここで言う可処分所得とは、生活保護基準とほぼ同趣旨です(同条3項)から、大変です。
たとえば、各地の物価水準に合わせて住居費が決められていますが、千葉市の場合、年間70万円前後しか認められません。
住宅ローンその他住居費に10〜12万円前後使っていいた人が、その家に住んだまま手続きを進めようとすると、食費その他の最低生活費を切り詰めるしかないのですが、これらの費目自体も最低水準にされているので、そこから切り詰めてこの家賃差額を捻出するのはほぼ不可能です。
かといって、もっと安いところに引越すべきだといわれても、引越し費用自体の捻出が出来ないので、それは不可能です。
もちろん、私立高校へ行く費用まで計算に入っていないのですが、高校生の子供に中退しろともいえません。
この分も、別の生活費目を切り詰めて捻出するしかないのですが、これも殆ど無理です。
これまで、与信経済の下方硬直性と職の不安定化を書いてきましたが、教育や家賃その他すべての分野で、支出の硬直化が進んでいて簡単に下方に変更できないのが現実です。
実際には、これでは無理なので、最低生活費を除いた分全額を払うのではなく、2年間の年収から、2年分の最低生活費を控除した残額を3年間に分割して払うので、若干のゆとりがあります。
法律では可処分所得の2年分以上の支払いとなっているのですが、制度発足時から裁判所の運用説明では当然のように下限の2年分支払いのシュミレーションになっていたのは,以上のような無理な現実があるからです。
それにしても、これでは厳し過ぎて実際的ではないので、この制度は、鳴り物入りの制定でしたが、実際にはあまり利用されていないのです。
民事再生法
第二節 給与所得者等再生
(手続開始の要件等)
第二百三十九条 第二百二十一条第一項に規定する債務者のうち、給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれるものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「給与所得者等再生」という。)を行うことを求めることができる以下省略
(再生計画の認可又は不認可の決定等)
第二百四十一条 前条第二項の規定により定められた期間が経過したときは、裁判所は、次項の場合を除き、再生計画認可の決定をする。
2 裁判所は、次の各号のいずれかに該当する場合には、再生計画不認可の決定をする。
一 第百七十四条第二項第一号又は第二号に規定する事由(再生計画が住宅資金特別条項を定めたものである場合については、同項第一号又は第二百二条第二項第二号に規定する事由)があるとき。
二 再生計画が再生債権者の一般の利益に反するとき。
三 再生計画が住宅資金特別条項を定めたものである場合において、第二百二条第二項第三号に規定する事由があるとき。
四 再生債務者が、給与又はこれに類する定期的な収入を得ている者に該当しないか、又はその額の変動の幅が小さいと見込まれる者に該当しないとき。
五 第二百三十一条第二項第二号から第五号までに規定する事由のいずれかがあるとき。
六 第二百三十九条第五項第二号に規定する事由があるとき。
七 計画弁済総額が、次のイからハまでに掲げる区分に応じ、それぞれイからハまでに定める額から再生債務者及びその扶養を受けるべき者の最低限度の生活を維持するために必要な一年分の費用の額を控除した額に二を乗じた額以上の額であると認めることができないとき。
イ 再生債務者の給与又はこれに類する定期的な収入の額について、再生計画案の提出前二年間の途中で再就職その他の年収について五分の一以上の変動を生ずべき事由が生じた場合 当該事由が生じた時から再生計画案を提出した時までの間の収入の合計額からこれに対する所得税、個人の道府県民税又は都民税及び個人の市町村民税又は特別区民税並びに所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第七十四条第二項に規定する社会保険料(ロ及びハにおいて「所得税等」という。)に相当する額を控除した額を一年間当たりの額に換算した額
ロ 再生債務者が再生計画案の提出前二年間の途中で、給与又はこれに類する定期的な収入を得ている者でその額の変動の幅が小さいと見込まれるものに該当することとなった場合(イに掲げる区分に該当する場合を除く。) 給与又はこれに類する定期的な収入を得ている者でその額の変動の幅が小さいと見込まれるものに該当することとなった時から再生計画案を提出した時までの間の収入の合計額からこれに対する所得税等に相当する額を控除した額を一年間当たりの額に換算した額
ハ イ及びロに掲げる区分に該当する場合以外の場合 再生計画案の提出前二年間の再生債務者の収入の合計額からこれに対する所得税等に相当する額を控除した額を二で除した額
3 前項第七号に規定する一年分の費用の額は、再生債務者及びその扶養を受けるべき者の年齢及び居住地域、当該扶養を受けるべき者の数、物価の状況その他一切の事情を勘案して政令で定める。
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