07/01/08

民事再生法9(住宅ローン条項2)

前回、民事再生法は、金融機関だけ優遇していると書きましたが、一般債権は10分の1または5分1以下に減額されて、(民事再生法231条2項3号、4号)しかも3〜5年の分割払い(民事再生法229条2項)になるのですが、住宅ローンだけは、1円も元金を割ってはいけないし、金利も負けてくれない仕組みですが、繰り延べだけを認める制度になっているのです。

一般債権は、再生手続き中の利息は無視ですが、住宅ローンだけは、その間も利息を取れると言うより、取らなければならない仕組みです。(民事再生法199条)

ところで、再生法では、前回紹介したように70歳を越える組替えは許可されないのです。(199条2項2号)

住宅ローン条項は、一般債権とは異なり、元々裁判所が強制することが出来ず、債務者と債権者との協議による結果を裁判所に持ち込むだけです。

これは担保権の特性にもよるのであながち不当とはいえない点は、04/27/07「民事再生法1(住宅ローンの特例1)」のコラムで紹介しました。

当事者の協議の結果、債権者銀行が「71歳まで伸ばしてもよいですよ」という場合でも、法でこれを禁止していることになります。

法が禁止できるのは、金融機関保護のためではなく、弱者・・債務者保護のためでなければなりません。

そんな高齢者になってまで、債務負担させるのは、けしからんと言う大義名分でしょうが、それならば、70歳以上に延びる分割払い分を免除する方式にすればいいことです。

取引開始段階ならば80〜90才までの分割払い契約を結ばせるのは、非常識・公序良俗に反すると言えるでしょうが、いったん借りてしまったものに対して、繰り延べを認めない親心とは何なのでしょうか?

繰り延べで当面の支払額が減少し、助かる人もいるでしょうから、損をする(70歳越えの分割払いに変更すると銀行は回収し損ねるリスクが高いでしょうが)銀行さえそれでよければ、無理に現在破綻させる必要もないのです。

住宅条項は当事者の合意=銀行の承諾次第と言う仕組みですが、銀行がOKしても認めない法律は、多分債務者の泣き落としに対して、銀行は法を楯に断れるようにした制度だったのではないかと言う私の推測です。

一般債権は、債務者の年齢に関係なく総合判定(本当に3年間分割払いが可能か否か?)で認可される仕組みですが、住宅ローンだけは、裁判所には裁量判断の余地がなく70歳で機械的に切り捨てたのは銀行・金融機関の保護のためだったでしょう。

以前は20年ローンが普通でしたから、そういう人なら、この再生法が使えるのですが、(まさに銀行救済法でした)現在では、ゆとりローンでしかマンションを買えない人は、元々ぎりぎりの支払い能力の人が多いうえに、最長期の35年ローンを組む人が殆どです。

35年ローンの返済表を見ると、殆どの人の最終返済日が元々70歳ピタリか、ぎりぎりになっているのですから、皮肉なものです。

これでは、35年ローンを組んだ人は住宅ローンの繰り延べのためには、再生法の利用が本来は出来ません。

 

 



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