07/31/07

裁量権乱用の歯止め2(水俣事件1) 公訴権の乱用2

公訴権乱用の法理は、私たちが学生持代以前?から唱えられている法理であって、決して新しい考えではありません。
以来40年以上も経過しているのです。
ところが、この次に紹介する水俣病被害者に対する傷害被告事件最高裁の判決によって、事実上公訴権乱用の法理の適用が出来なくなっているのです。
水俣病の被害者の抗議運動の過程で、行き過ぎがあったとして、傷害罪に問われたのに対して、高裁で、この公訴権濫用法理によって、公訴棄却した事例が有名です。
(原判決はいわゆる寺尾判決ですが、ただしこれは最高裁(昭和55年12月17日第1小法廷)で、公訴棄却要件の厳しい限定的解釈によって否定されています。)
事案は、最高裁の判決理由に詳しく書かれていて、(本当は紹介したいのですが、・・・)会社側の被害者に対する数々の暴力行為を検挙せずに、被害者は側のちょっとした暴力行為だけを検挙したことに問題があるとして認定しながらも、(高裁の認定です)その程度では被告人に傷害行為がある以上は、公訴権の乱用にならないと言う判決理由です。
以下は、http://www.happycampus.co.jp/pages/data/10/D9735.htmlからの引用です。
(1)事件の概要
水俣病公害を引き起こしたとされるチッソ株式会社(以下、チッソ)に対し、水俣病患者である被告人は、被害の補償を求めるため、他の患者や支援者と共に、交渉のため繰り返しチッソの本社に赴き、チッソ社員としばしば衝突していたところ、チッソ社員4名に加療を要する傷害を負わせたとして、傷害罪で起訴された。本件は、被告人に対する本件起訴が、検察官の訴追裁量権を逸脱し濫用に当たるのではないかが争われた事件である。
第一審は、被告人の公訴権濫用等の主張を退けた。
これに対し被告人は控訴。原審は、@公害史上稀にみる水俣病被害を引き起こした加害企業に対する検察権の発動が時機を失した一方、工場廃水の排出中止を求めて抗議行動に出た漁民等に対する刑事訴追と処罰は迅速、峻烈であった、A水俣病をめぐる複雑な事情を背景に登場した被告人ら自主交渉派の置かれた客観的状況の下で、本件起訴は対立する当事者の一方に荷担する結果をもたらした、B本件傷害の被害者らには被害を甘受すべき理由はないが、被告人らのチッソに対する感情には同社の対応に起因して容易に抜き難いものがあり、被告人らの行為に行過ぎがあったとしても刑罰で臨むのは妥当性を欠く、C自主交渉の過程におけるトラブルでは被告人ら患者や支援者にも負傷者が出ているのに、チッソ社員に対して訴追がなされていない不平等がある等の事情を挙げて、「立体的巨視的な観点」からみたとき、「被告人に対する訴追はいかにも偏頗、不平等であり、これを是認することは法的正義に著しく反する」とし、控訴棄却の判決をした。
最高裁は、検察官の訴追濫用権の逸脱が控訴の定期を無効ならしめる場合はありうるが、それは、「たとえば控訴の提起自体が職務犯罪を構成するような極限的な場合に限られる。」とし、本件の場合は、公訴の提起が当然に不当とはいえないとした。


ここまで・・世界中で認められているほどの偏頗検挙でも、(捜査当局の犯罪行為にならない限り・・そんなことはあり得ないでしょう)乱用による棄却を認めないのですから、
   「みんながやってるのに何故自分だけイキナリ逮捕されるんだ」
と言う程度・・信号無視で横断していて自分だけイキナリ逮捕された・・では話になりません。



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