07/18/07

帳簿の正確性3(上場企業や公的記録)

ところで、上場企業の粉飾決算も報じられますが、これは、帳簿の多目的利用による2重3重帳簿の結果と似ているようですが、本質が違うでしょう。
株主または株主になろうとする人にとっては、本来は経営者または経営者になろうとする者ですから、現場にいない経営者=株主にとっては帳簿の正確性こそが命です。
資本と経営の分離制度は、帳簿の正確性でつながっているのです。
もともと、大福帳形式の帳簿は、個人経営の江戸時代から経営者が自己の経営を数字で確認できるように発達してきたものです。
これが複雑になってきたのと、資本項目の計上の必要性から、複式簿記・・・貸借対照用形式に発展してきたのです。
これが資本と経営を分離した株式会社制度が経済の主流になった以上は、帳簿の正確性の要請は、個人企業・・自分で帳簿を作る時代よりも、なおいっそう重視されるはずのものです。
株主=経営者が、会計帳簿を利用して投資判断するのは、企業統治のために必要なことですから、株主または株主になろうとするものが、自己の投資判断のために、企業の実態を知る必要があり、その手段としては、公開された会計帳簿を見るしかないのですから、ここで公開される帳簿は、本来の会計帳簿作成目的そのものの利用なのです。
株式市場での公開・・資本取り入れの仕組みは、投資家=経営者が、事業実態把握のために、正確な内部帳簿を利用出来なければ機能しません。
ですから、この種の不正帳簿の跳梁跋扈は、帳簿の多目的利用のために実態に合わなくなったからと言うことではなく、経営委託を受けた取締役会が、委任者あるいは委任者になろうとしている株主に対して虚偽報告をしている問題です。
金融機関が融資に際して「どうせインチキだろう」と思いながら、別の調査を基準にお金を貸しているのとは訳が違います。
上場企業の不正会計は、まさに不正であって多目的利用による構造的な問題ではなく、単純な背任行為が複雑に仕組まれているだけと言うべきでしょう。
これを許していると、株式市場の信用性が失われますから、資本主義社会での致命的犯罪と言うべきでしょう。
年金制度で、収めた掛け金の記載帳簿がデタラメになっているのと同じ問題です。
年金の帳簿について役所から「帳簿にも、いろいろアラアナ!」と言われたら、誰も納める気がしなくなるでしょう。
年金帳簿の多目的利用があり得るとすれば、不正流用目的または横領目的でぐちゃぐちゃにしたとしか考えられないのです。
年金に限らず、公的記録・・たとえば北海道警察の使途不明金=不正流用事件もそうですが、公的記録を不明朗にするのは、意図的・・組織的に不正流用を企む場合しか考えにくいのです。



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