07/03/07
遺産分けと相続1(民法208)
ついでに書きますと、妻の無能力制度は、女性の相続権の消滅とも関係が深いのです。
一見関係が無いようですが、持参金制度と相続制度は関係が深いのです。
遺産分けというと今では、死亡による相続という観念ですが、明治までは、その前提として、生前に分配する形式・・・次男三男の新宅や、分家、さらには娘に対する持参金(嫁入りしたく)制度が普通でした。
隠居はその究極の形、包括的生前遺産分けともいえるでしょう。
家康の例で見ても実権を持っているうちに、次々と息子たちに領地を分配して行き最後に隠居して家督を秀忠に譲ったのです。
その他名のある武将の子息たちも成人・所帯を持つと、それなりの所領を貰い別の屋敷に住むのは、よく知られたところです。
現在日経朝刊に連載中チンギス汗の物語でも、その子供たちはみな順次独立していくので、世界中同じともいえるでしょう。
(スペイン王家などもそんな感じです。)
贈与に関する税法が、相続税法の中にあるのは、こうした歴史があるからです。
それならば、贈与税は相続税と同率でよいはずですが、贈与税の税率が無茶に高くなっているのは、政府の都合と言うべきでしょう。
生前贈与が中心の社会ですと、贈与行為の把握が難しく税を取り難いのに対し、死亡と同時の相続ならば、死亡の事実は隠れも無いことですから、発生の把握が容易であることが第1の理由でしょう。
それと西洋の民法が入ってきて、代変わりによる所有権移転は、相続編で完結したい体系的整合性の要求もあるでしょう。
いうならば、政府の徴税把握の都合で、死亡時期とかけ離れた財産分けには、懲罰的高率税を課すことにしたものと評価できるでしょう。
贈与は「無償=不労所得であるから高率」と言うのは、民をごまかす方便です。
それならば、相続移転も同じ控除額で、同じ率でいいからです。
これが、崩れたのが、長男単独相続を誘導するべく始まった農地の一括生前贈与の特例です。
この制度では、納税猶予されて相続開始によって相続税でよいことになり、さらには、一定の要件で、相続税自体の納付猶予があるので、事実上永久に納税義務が免除される扱いです。その点は措くとしても、ともかく相続税と同じになったのです。
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