07/26/06
即決裁判手続11と検察官の権限強化3
以上書いて来たように、即決裁判手続では、検察官が事実上判決内容を左右できるようになったと言えるでしょう。
捜査官が、裁判の結果にまで発言力があるのでは、正確な捜査がゆがむ恐れがあるのではないでしょうか?
捜査する人は捜査までの責任を持ち、捜査した結果についての判断・・・裁判は裁判所として厳然と区分けして置く必要があるのではないでしょうか。
裁判の内容まで検察が事実上決められるのでは、実質裁判官みたいな権限を持つようになった・・・・権限の大幅拡大と言えます。
それよりも重要なことは、即決手続ではなく、通常事件で起訴された事件は、原則執行猶予なしの運用になっていく可能性があります。
略式請求の発達の結果、公判請求された事件では、罰金刑だけの判決は、ほぼ皆無になっているのが実状です。
執行猶予を決める権限を事実上検察官が握ると言うことは、実刑相当事案かどうかの分類権限も検察が握ることになるだろうと言う予想です。
ここまで大きな振り分け権があるとなれば、今後、裁判所は通常手続事件では実刑相当事案の事件だけの審理を担当することになるので、よほどのことがないと執行猶予にはならないと言う運用になりそうです。
何回も書きますが、被告人にとっては実刑になるか執行猶予として家に帰れるかは、大きな運命の分かれ目です。
その最大のテーマがなくなってしまい、通常手続での裁判のテーマは、有罪無罪の争いを裁き(有罪率が100%近いのですから滅多にない事例です)、有罪であるとすれば(執行猶予のない)量刑を決めるだけの幅の狭いテーマに絞られてしまいます。
懲役1年にするか、懲役1年2月にするかも重要でないと言えませんが、執行猶予になるかどうかの違いほどではないと言うことです。
即決手続創設の結果、裁判所の判断権は、ごく狭い範囲だけの判断権者になったと言うことになります。
そのうえ、これまでは検察官から執行猶予の意見は言えなかった?ので、執行猶予にするときの内容についての意見はまったく言わなかったのです。
それで、裁判所が執行猶予に附するときには、どのような執行猶予にするかについては、100%裁判所のフリーハンドでした。
今後は、検察官が、執行猶予の求刑が出来る以上は、すぐにも執行猶予の内容自体について・・・・・・執行猶予の期間や保護観察に付すべきか否かその期間などの具体的な意見を、言い出すでしょう。
この内容についても、事実上の検察の意見が重視されるようになってくるのですから、かなりの検察官権限の強化です。
関連ページリンク
©2002,
2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design
/ Maintained by Pear Computing LLC
