07/25/06
即決裁判手続と裁判所の権限6
簡裁と地裁の権限の違いを利用した略式手続は、処罰を裁判所に求めながらも、その結果を罰金にとどめると言うのですから、起訴便宜主義の権限を越えている点において、今回の即決裁判手続と似ています。
ただ、人権侵害となる重要な処分を裁判所が決めると言う仕組み・・憲法の精神からすれば、求める刑はいわゆる体刑ではなく、罰金だけですから、それほど逸脱している訳では有りません。
罰金については、これと似た制度の反則金制度、さらには行政罰の過料・課徴金制度などがあって、刑罰との限界が観念的です。
道路交通法違反で、どこまでが反則金かどこから罰金かの線引きなど見れば分かるように、制度設計・・線引き次第で、その境界が変るだけの相対的な区別に過ぎないともいえる面もあります。
もともと、罰金には歴史経過を見ると、自然犯よりも法定犯、取り締まり法規違反の刑罰に多い面があり、反則金や課徴金との境界が曖昧なのは仕方のないところでしょう。
ただし、今回の刑法の大幅改正によって、かなり多くのの犯罪で罰金刑の選択が出来るようになりましたので、罰金刑が法定犯に故郷があるかどうか、ひいては法定犯と自然犯の区別は難しくなってきました。
もともと、法定犯と自然犯の厳密な区別をするのは、無理があって、「どちらかと言えば・・・」と言う程度の相対的な観念ですから、時代と共に変わって行くのは当然でしょう。
法定犯と自然犯については、10/28/04「刑罰の目的4(自然犯と法定犯4)刑法19」前後で紹介しました。
これまでは、法定犯の自然犯化の流れでしたが、今回多くの刑法犯に対する罰金刑の追加は、自然犯にも類形の軽いパターンが増えて来たことに対応したものでしょう。
自然犯の一部について、法定犯化現象が生じていると言えるのかもしれません。
ま、それはそれとして、ともかく刑罰と言っても罰金にはこうした歴史的特殊性があって、国民も罰金を払うくらいでは、犯罪を犯した・・前科1犯の意識がほとんどないのが普通です。
それでも、罰金も財産刑ですから、結論を出すのは裁判所の手続を経たときだけ、と言うシステムを守っていたものでした。
今度は、罰金だけでなく懲役刑・いわゆる体刑を求めながらも、その審理判断の結果執行猶予にするかどうかの(事実上ですが)決定権限も、検察が持てるようになったのです。
懲役刑を決める手続になると、誰が考えても立派な犯罪・・刑罰の決定手続ですから、そこまで検事が決める権限があるとなれば、落ち着きが違う・・・検察が司法の中に入ってくる(踏み込んでくる)印象ではないかと言うことです。
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