07/24/06
即決裁判手続と裁判所の権限5
即決裁裁判手続きに話を戻しましょう。
この手続に乗せるには、
「弁護人の同意が条件で、しかも、執行猶予は被告人に利益なことを検事が要求するのだから良いじゃないか」
と言うのでしょうが、これは被告人の人権擁護と言う側面だけの議論です。
訴訟手続き上、検事と裁判所の権限分配はどうあるべきかの議論とは、側面が違います。
検事の論告・求刑意見はこれまで、裁判に対する原告側の意見でしかなく、裁判所は自由な心証で判決内容を決定できたこれまでの建前からすれば、判決内容が執行猶予付きにしなければならないと決まっているのは異例です。
検察官は、これまでも、簡裁と地裁を選んで提訴することによって、実質的に罰金刑にするか懲役刑かの選択権を持っていたのですが、これは簡裁の権限が限定されている制度上の問題であった上に簡裁では前々回書いたように簡単に不相当判断できる仕組みでした。
ところで、検察官はこれまで紹介しているように、もともと起訴・不起訴の決定権を持っているのですから、一種の司法処分権を持っていたことになります。
不起訴の中には犯罪を構成しなかった事件と有罪の嫌疑あるがまだ証拠が足りないものや証拠が揃っているが微罪であるから、不起訴処分と言うものがあります。
今はどうなっているか知りませんが、私が検察修習したころには、不起訴裁定書の中で起訴猶予処分には、嫌疑不十分と微罪の2種類があったように思います。
この微罪処分は、まさに司法処分そのものですから、裁判権を侵害していると言えば言えるでしょうが、何もかも裁判にかけるのは刑事政策として好ましくないのは明らかです。
この程度の裁量権は、裁判前のどこかの機関が保有せざるを得ないとすれば、法律家である検察官の権限としたのは合理的だったでしょう。
この点は、08/25/03「起訴便宜主義2(刑事訴訟法4)」 起訴独占主義のコラムで説明してきました。
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