07/20/06
公判前整理手続と弁護人の過重負担5(憲法176)
ことは、人権意識や理念だけで解決出来るものではないでしょう。
いつも書くことですが、何事も経済的裏づけがあってこそ、長期的に実施できるものでしょう。 「正当な補償をしてもしなくとも、弁護人を附しさえすればいいだろう」
と言うのでは、長期的には、良質なと言わないまでも、並の弁護すら望めなくなる可能性がありますから、実質的な憲法違反を目指しているのではないでしょうか?
憲法の趣旨は、平均的な弁護報酬を支払って、ちゃんとした弁護をしてくれる弁護人を附すと言うものでしょう。
これまで、このような事例で問題にならなかったのは何故でしょう?
オーム真理教の国選では、その大変なことから勿論弁護側としては、赤字受注です。
このような大事件での国選と言うのは、実は、滅多になかったので、有志の頑張りやみんなの(精神的?)応援で、何とかなっていたのです。
私が弁護士になりたてのころに、千葉では、いわゆる成田事件が頻発しました。
成田事件とは、成田空港開設に反対する闘争事件で、今は歴史上のことになりましたが、(今でも空港建設が、完成出来ないのは、この闘争の結果と言えるでしょう。)記憶に残っている方も多いでしょう。
しかし、我々国選に来るのは、いわゆる3派系全学連(革マル、中核、社青同だったかな?)や後に先鋭化した京浜安保共闘などの戦闘的組織から脱落した事件ばかりで、本当に闘争している被告人には、それぞれのシンパの弁護士がついていたのです。
それには、それなりの資金源があったのでしょう。
7月19日・・・・・・2「公判前整理手続と弁護人の過重負担1」のコラムで書きましたが、最近では、こうした組織や金持ちが大事件を起こすだけではなく、少年が大人になったばかりのグループとか経済的に貧困な階層が大事件を起こすことが多くなってきたのです。
こうして、大事件の国選化率の上昇と分母になる規模の大きな事件が増え続けていることから、
「たまには、ただ仕事も仕方ないか!」
と言うボランテイア精神では、間に合わなくなって来たことが大きいでしょう。
それに、いろんな分野でコンピュータ化のせいかどうか知りませんが、むやみに資料が大量化していることも問題でしょう。
これまで書いて来た検事調書や司法警察員の調書も、法廷には紙で出て来ますが、作成する方は、いまどきパソコンで打ち込んでいるはずですから、作る方はデータ化して簡単に内容を検索出来るのでしょう。
これを紙にした調書などをトラック何台分開示された弁護人の方では、この紙の山の中から、多数関係者の供述を読み比べ、小さな言い回しの違いをチェックしながら、メモしていくのは、大変な作業です。
あるいは、被告人にとって不利な供述をしている関係者の調書を不同意にして、その供述者が証人に出た場合、「証人尋問で崩せる可能性があるのかどうか」などの微妙な判断の結果、同意するか不同意にするかの意見をいうのです。
このように膨大な作業をした結果、07/16/06「現行刑事訴訟法34(調書裁判の実態3・・伝聞法則2)」で紹介した刑訴326条の同意または不同意の意見を述べるのですが、その一回のやり取りの日当が、4000円(あるいはその数倍でも)では、何を考えているの?と言いたくなりませんか?
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