07/15/06

現行刑事訴訟法31(調書裁判の実態1)身柄拘束の魅力?

捜査機関や裁判所が、被告人の身柄拘束に何故こだわるのでしょうか?
現在の刑事公判手続きでは、調書裁判と批判されているように検察官による取調べ調書の提出と裁判官が、これを自室に持ち帰り、その調書の熟読による判決が実際上の運用です。
そこで、検察官の仕事は、警察段階で作成された調書を点検して、公判廷で採用されるように完全な調書の巻きなおしに終始しているのです。
この調書の重視が、長期勾留に対する必要性を加速しているのです。
ちなみに、関係者は「調書を巻く」と言うのが格好いいと思うらしく、今でも使いますが、むかし巻紙でやっていた名残でしかなく、今は「調書を取る」と言うのが正確でしょう。
条文も次に紹介しますが、「録取」と書いていますよ。
被疑者からみれば「取られる」ものです。
私が修習生のころは、まだ警察の能力が低かったせいか、同僚修習生(検事に任官しました)が担当警察に調書の不備を指摘してやり直させていたことがあります。
ところが、こうしたことを繰り返しているうちに、現場も習熟していきますから時間の経過とともに、調書作成能力完全化の率が高まっていきます。
いつも私が書いている、わが国特有の「下位へ下位へと権限が移行していく」現象の一つです。
こうした経過で、ここ20年くらいと言うものは、我々弁護士からみれば、検察官は警察の作文を検事の名前で作り直しているだけのような印象を受けるようになっているのです。
何故こういう無駄なことをしているかというと、刑事訴訟法では調書作成者によって証拠能力が全く違っているからなのです。
現行刑事訴訟法を見ましょう。

刑事訴訟法第321条 被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り、これを証拠とすることができる。
1.裁判官の面前(第157条の4第1項に規定する方法による場合を含む。)における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は供述者が公判準備若しくは公判期日において前の供述と異つた供述をしたとき。
2.検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異つた供述をしたとき。但し、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。
3.前2号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができず、且つ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。
但し、その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る。」

この条文は、読み比べをしなければ、意味がわからないので、煩雑に思うでしょうが、次回から細かく見て行きましょう。



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