07/12/06
予審判事9と検察官 15
予審判事は、公訴提起後の裁判所の人間であって、公訴決裁官であった訳ではないのでしょう。
しかし、検事が公訴してもその後肝腎の公判手続きに乗せるかどうかの決定を予審判事が行うだけでなく、不足証拠の収集取調べさえも出来たのですから、検察庁の権限が裁判所に食い込んでいたと言うべきか、裁判所の権限が検察庁の職務に食い込んでいたと言うべきか?と言うところです。
謂うならば、公訴する検察とこれを裁くべき裁判所の接点に位置し、公訴提起する官庁と、これを受けて公平に裁判するべき裁判所が、まさに癒着していたと言うべきでしょう。
当時は、捜査も裁判も同じ国家機能のそれぞれの段階でしかないと言う位置付けだったからでしょう。
ところで、現在のフランスの刑事手続法でも、大審裁判所(各県にあるので、わが国の地裁みたいなものです。)では、「予審判事」がわが国の旧刑訴同様に、公判手続に載せるかどうかの決裁や勾留決定などを行うことなっているようです。
フランスの予審判事の権限の詳細を知りませんが、旧刑訴の予審判事は、不足証拠の収集や取調べなどをする権限から言えば、現在の刑事訴訟法で言えば、おおむね検察官の役割です。
今の検察官は、必要な証拠収集を終えて公判を維持できると言う自信を持って公訴提起・・・すなわち公判請求をしているのです。
戦後の起訴状には、「公訴を提起し、公判を請求する」と結ばれているのが普通です。
結局、裁判所内の予審「判事」であるならば、自ら証拠収集したり取り調べたりするのは、今の感覚から言えばおかしいのであって、予審判事制度は二股膏薬になっているから分り難いのです。
アメリカやイギリスで起訴不起訴を決める予審判事または、予備審問官が存在するとも言われますが、それは、日本の現行法制度の役割に合わせるならば、検察官と翻訳すべきでしょう。
しかし、公訴官を検察官と言う漢字で表わすのが、実態にあわないので、今更検察官とも訳せないのでしょう。
他方で、権限内容によらず、所属する役所の関係から言えば、判事と言うのが正確でしょう。
ま、どちらに重心を置くかで、名称が変るとも言えます。
ところで、今でもフランスにある予審判事と検察庁の関係をみると、せっかく検察庁が捜査して、起訴しようとしても、予審判事が最終的に公訴するかどうかを決め、不足資料あれば補充捜査を命じられるのですから、結果的に上下関係になってしまうでしょう。
予審判事の下にあるフランスの役所を、日本の現行刑事訴訟法下での「検察庁」とする翻訳が間違っているのではないでしょうか?
これを日本語にするときには検察庁ではなく、警察庁や県警本部のような別の役所名に翻訳にすべきだったのかもしれません。
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