07/10/06

刑事訴訟法23(予断排除の原則と起訴状一本主義2)

予断排除の原則とは、裁判官が、あらかじめ検事からいろいろな情報を得るのを許すと、
     「被告人を悪い奴だ・嘘ばっかり言う男だ」
などの偏見を持ってしまう危険があるので、法廷に現れた証拠だけで判断するために、生まれてきた原理です。
この原理は、事実認定に関する厳格な証拠法則と密接に関係しています。
後に厳格な証拠法則を紹介する機会があると思いますが、せっかく厳格な証拠法則を定めても、裏から裁判官が情報を得ていたのでは、尻抜けになるのを防ぐ意味でもあるのです。
このため、第1回公判前の保釈請求などは、その事件が係属していない別の「裁判所」で審理する仕組みです。
別の裁判所と言うのは、ある地方裁判所の刑事1部で本案が係属しているときは、別の刑事第2部とか3部で保釈の可否を審理すると言う意味です。
ちなみに、訴訟法で言う「裁判所」とは、千葉地裁のような場所をさす言葉ではなく、事件が係属している裁判体をさす言葉です。千葉地裁とか千葉地方検察庁と言うのは、官署としての用語であって、法律用語の「裁判所」と言う意味では有りません。
検事も検察庁として行動するのではなく、検事一人一人が官庁人格を持っていることを、既に紹介しました。
このような違いについては、10/05/02「裁判の仕組み 4(裁判所)」、08/14/03「組織トップの責任(説明責任)(刑事捜査の公正さ)2 検察の独立性1」などで紹介しています。
同じ地方裁判所の刑事1部でも、ある単独判事の担当している事件は、その裁判体・・一人で構成しているのですが、これを「受訴裁判所」といい、同じ刑事1部に所属する他の裁判官は、上司・先輩であっても、別の「裁判所」ですから、後輩の裁判内容に口出しすることはできません。
ですから小さな裁判所で、刑事が1部しかない場合にも、別の裁判官が保釈事件を担当すれば、別の「裁判所」が審理したことになるのです。
このように起訴状一本主義の精神から見れば、起訴するべきかどうか、その前提として証拠が足りるかどうかの判断をする官職のものが、裁判所内の「判事」であるべくもないことが、分かるでしょう。
裁判所法については、12/03/04 「裁判所法 10(地方裁判所の権限)」までに、何回も紹介していますが、念のため、もう一度紹介しておきましょう。

裁判所法
昭和22・4・16・法律 59号  (裁判官)
第5条 最高裁判所の裁判官は、その長たる裁判官を最高裁判所長官とし、その他の裁判官を最高裁判所判事とする。
2 下級裁判所の裁判官は、高等裁判所の長たる裁判官を高等裁判所長官とし、その他の裁判官を判事、判事補及び簡易裁判所判事とする。



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