07/09/06
明治以降の刑事関係法の歴史8(予審判事2とフランス文学)
ところで、予審判事という言葉は、フランスの文学作品などでおなじみでしょうが、わが国には現在存在しない官職ですので、実際に経験したひとがいないので、西洋の小説を読んでいても、もう一つ分り難い印象を持たれた方が多いでしょう。
(わからない言葉が出て来ると、そこで詰まってしまう傾向があるのは、私だけかもしれませんが・・・。)
しかし、予審判事制度は、この治罪法制定(1881年公布・・82年施行)のときから、旧々刑事訴訟法(明治23年)、旧刑事訴訟法(大正11年)になって、敗戦後の現行刑事訴訟法施行(1949年)までの70年間弱の長きにわたって、わが国にも存在し、実施されていた制度です。
戦前の制度に馴れた人にとっては、フランスの名作を翻訳した予審判事の意味が、肌でわかっていたのかも知れません。
私が読んだフランス文学は昭和30年代中期頃発行の世界文学全集などですから、すべて戦前育ちの学者による翻訳ばかりですから、彼らには常識だったので、何の注記もなく書かれていたのでしょう。
私は戦後育ちですので、具体的な経験がなくて予審判事のイメージが、よく分らないママ読んでいたのです。
ま、今の日本人でも、検事と警察の違いをきっちり説明できる人があまりいないでしょうから、中学生や高校生の読者にとっては、日本にそのような官職があるのかどうか知っていても、知らなくとも同じだったと言えば同じです。
しかし、教養のある大人になってもピンと来ないような翻訳って、おかしくないかなあ?
日本語に翻訳するならば、日本の制度用語に翻訳してほしいものだと思うのは、人情ではないでしょうか?
日本に大統領制がなくとも、アメリカの大統領の意味は誰でも知っているから、ケネデイ大統領・ブッシュ大統領でそのまま意味が通じますが、予審判事などは、今の日本人は誰も知らないのですから、本を書く人は注記くらいは必要でしょう。
こんな変な疑問をもっていましたが、このように戦前育ちの翻訳者が教養を身につけた当時の日本では、予審判事制度が70年近くも続いていたのですから、常識だったのでしょう。
私たちが、日常会話で、国鉄からJRに変った数年後くらいは、旧国鉄といわずに「国鉄が・・・・・。」と話していたのと同じかも知れません。
そう言えば、私の子供のころは、国鉄(日本国有鉄道)・国電といわずに、「省線電車に乗って・・・」と言う大人が多かったことを思い出します。
戦前は鉄道省と言うのがあって、鉄道事業はその直轄事業だったのが、戦後いわゆる3公社5現業になったのです。
ちなみに、3公社5現業とは、電信電話公社・専売公社・日本国有鉄道までが、いわゆる3公社と言われ、造幣・印刷・ 郵便・林野・アルコール専売が、国の直轄現業部門でした。
この3公社5現業の民営化に緒をつけたのが、中曽根内閣で、現在では、この3公社は総て民営化され、残された直轄の現業部門を独立採算制の公社化して行こうとするのが、現在の民営化論争です。
小泉内閣の郵政民営化や道路公団民営化論争は、残された現業部門の民営化=公社化または独立法人化の問題で、郵政は公社化まで進みました。
郵政問題は小泉総理の逆転勝ちで終わりかけていますが、郵政国会のずっと前に行政組織の改革問題として、後ろ盾になるべき肝腎の郵政省がなくなってしまい、総務省に吸収されていたことも大きかったでしょう。
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