07/06/06
戦後の内閣制度8(憲法169)衆議院解散権2
この解散権の根拠規定には、諸説がありますが、結論として不信任決議がなくとも内閣が解散権を行使できるとする説が普通とされ、実務では7条の国事行為説で運用しています。
以前、天皇の仕事のコラムで簡単に紹介しましたが、この機会にもう1度見ておきましょう。
7条説とは、この条文の国事行為・・・解散は、内閣が助言して行うものですから、内閣に解散権があると言うものです。
(その他解散権は行政権に属するからと言うのもありますが、これなどは、議会は王がいつでも解散を命ずることが出来た前近代の王権同様の機能を内閣に認めようとするものでしょうし、いずれにせよ7条を根拠にするものです)
第7条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
1.憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
2.国会を召集すること。
3.衆議院を解散すること。
ところで解散権は、上記のとおり7条の国事行為の規定から、無理やりに形式的解釈で導き出されているのですが、これは本来議会での不信任決議で、解散することになった場合の天皇の国事行為に対し、助言と承認をするだけの規定と読むのが素直でしょう。
元々議会の解散権は王権が握っていたものであって、議会議員には任期があるだけで、せっかく国民から付託を受けた国会が、自発的解散をする権利があると言うのもおかしいし、国民によるリコール以外に解散をするのは、憲法精神から見て矛盾でしょう。
議会が内閣不信任決議をした場合には、どちらが国民の支持を受けているかの信を問うために、内閣に解散する権利を留保するのは、民主的意味からもうなづけます。
議院内閣制下での内閣が、議会と対立することは論理的にないのですから、対立もないのに、いつでも自由に議会を解散出来ると言う解釈は、何を目的にするものでしょうか?
私の思うには、7条説は国民主権・・国民の代表となった国会に対して、行政府・・内閣を優位に置こうとするものだと思います。
同じ国民の代表でも、内閣は過去の経緯から、国民に直結した議会に比較して、天皇の政府寄りの行動が期待できるので、どうせなら、行政府優位の体制にしたいと言う思惑でしょう。
こうした解釈は、国民の代表者である国会を「国権の最高機関」として位置付けた憲法体系に反した解釈ではないでしょうか。
内閣が自由自在に国会に対して解散を命ずることができるのでは、解散=議員身分の剥奪・・喪失ですから、総理が閣僚の任免権を持っているように、議員の罷免権を有しているのと政治的には同じ結果になってしまいます。
解散ほど現役議員に対する脅しとして有効なものはありません。
このことは、昨年の郵政国会で解散に踏み切ろうとした際に於ける、自民党内の抵抗の大きさを振り返れば分かるでしょう。
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