07/04/06

不真正連帯債務(民法166)共同不法行為(刑法58)同時傷害

意思の連絡のことから、06/28/06・・・2「連帯責任3と連座責任2(会社法4)と組織犯罪・・共謀罪の新設1」のコラム以来、共謀罪法案の危険性・・・刑法の話にずれましたが、話しを連帯責任に戻しましょう。
意思の連絡がなくとも、連帯債務者となる例外が、民法にもあります。
共同不法行為に対する不真正連帯債務と言うものですが、意思の連絡を必要としないことから「不真正」連帯債務と言われているのです。
これは、これまで紹介して来た連座責任とも異なり、不法行為者間に組織的関係すら必要なく、偶発的な関係を想定しているのです。
以下に条文を紹介しますが、この条文の意味だけ(文理解釈といいます)ですと、「共同」の不法行為と書かれているので、意思の連絡がある場合だけのような書き方です。
しかし、実務では加害者同士無関係な偶発的事故の場合にも、適用があるとされています。
ちなみに、刑法にも似たような規定があるので、並べて紹介しておきましょう。
刑法の解釈では、民法のような書き方ですと偶発的な場合でなく、条文の厳格解釈から共犯関係を意味していることになります。
そこで、条文の最後にわざわざ「共同して実行した者でなくても、共犯の例による。」と言う規定がおかれているのです。
民法には、こうした追加規定がないので、法解釈として無理があるのではないかと言う訳です。
逆に言えば、民法では解釈で何とかなっているので、刑法のような追加規定が必要ないと言うことになってしまったのかもしれません。
ところで、民法学者・判例の解釈によれば、以下のようになります。
偶発的な事故・・・・たとえば車と車の衝突事故で、はね飛んで来た1台の車が歩道上を歩いていた歩行者にぶつかった場合を考えて見ましょう。
歩行者はどちらの運転手が悪いかの証明をすることなく、車2台の運転手二人の内どちらを相手にしてでも、全額の損害賠償を求めることが出来ることになります。
被害者にとっては、どちらの運転手が悪いのか(あるいは、7対3とか6対4とかの過失割合も含めて)分らないのですから、これを被害者に証明しろと言うのは、無理でしょう。
そうしたことから、この解釈は、実際的に必要なことも分かるでしょう。
いつものとおり、条文を見ましょう。
民法
第719条 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。
共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。刑法

(同時傷害の特例)
第二百七条 二人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例による。



関連ページリンク

Powered by msearch
稲垣法律事務所:コラム:検索

検索ベースはこちらから

 


コラムTOP

リンクを当コラムにはられる方はお読み下さい

©2002, 2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design / Maintained by Pear Computing LLC



ブログ
株式投資