07/26/05

明治以降の裁判所の設置7(破毀院と大審院1)

大審院は、東京に置かれ、
「民事刑事の上告を受け上等裁判所以下の審判の不法なる者を破毀して全国法憲の統一を主持する所」
とされます。
大審院は、フランスの破毀院を範として出来ましたが、原判決を破毀する、だけでなく内容によっては自判できる制度に工夫していますので、この点フランスの破毀院とは同じではありません。
破毀院のフランス語はCour de cassationと言うらしいですが、詳しくは 知りません。
Cour de ・・・というのは控訴院でも使うようですからcassationに意味があるのでしょう。
これが破毀すると言う意味なのか、あるいは最高裁判所に類する上級機関の意味でしょうが、これが何故破毀院と翻訳されるようになったのでしょうか?
後記のように、既にこのころはフランス人ボワソナード教授の指導下で西洋法の研究がされていましたから、先ず、フランス刑事訴訟法の翻訳があったものと思われます。
ボワソナードの意見で、フランス刑事手続き法(治罪法)法では、最上級審が破毀だけしか出来ないシステムの不具合が指摘されて、わが国では自判できる仕組みに改めたものです。
こうした比較の結果として、わが国の大審院と違う特徴があることから区別するためにフランスの最上級裁判所を破毀院と翻訳することになったのではないでしょうか?
こうして見ると破毀院という単語よりも先に大審院と言う熟語が生れていて、その対置するものとして後に破毀院という翻訳後が生れたことになります。
この後で元老院についても紹介しますが、ローマの元老院と言う呼称よりもわが国の元老院の方が先に出来ていたのと同じです。
この推測はcassationと言う単語の意味が分れば直ぐに解決するのですが、手許にフランス語辞典がないために苦労して無茶な推測をしている次第です。
(辞書のある方は、ご自分で確認して見てください)
と言うわけで、文学作品などに出てくるフランスのCour de cassationは、最上級審である点は、わが国の大審院と似ていますが、大審院とは違って破棄だけしかしないのでわざわざ破毀院と翻訳しているのですが、文学者がそうした細かい制度の違いが分る筈がないのです。
(今でもわが国の刑訴と他国の刑訴の違いが分る人は少ないでしょう。)
現にアメリカやその他の国ごとの細かい制度の違いを問題にせずに、上院や大統領・首相などと一律に翻訳しているのが普通ですから、破毀院だけやけに詳しいのは法律家のボワソナードの翻訳に拠ったからはでないでしょうか。



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