07/10/05

法律扶助の拡大2(弁護士業の衰退?)

06/25/03「補助金行政の問題 2(精神の拘束1)」前後の連載その他で、繰り返し書いているとおり、私は補助金行政に反対し、国家の関与をできるだけ少なくすべきだと言う基本姿勢ですから、こうした公的資金に頼って弁護士が食べて行くのは反対です。
以下は、ある産業が補助金に頼った場合と頼らない場合の共通結果ともいえるものですが、これを弁護士業界に当てはめてみましょう。
誰かが,息子や娘のために自分のお金を出す以上は、良い弁護士を探そうとなり、過去の実績などが重視され、自然に市場競争にさらされますが、国がお金を出してくれる以上は、
  「自分で好きな弁護士を選ぶ権利がない」
といわれれば、そうかなと思う方がほとんどでしょう。
お仕着せの制服なども、ただで配られるなら、センスが悪くとも文句言わない人が多いでしょうが、自分で負担金を出さされるなら、自分の好きな物を選びたいという声が大きくなるでしょう。
民事に関して法律扶助を拡大し、刑事事件の全件国選化が進むと、一見これまでお金のなかった人も弁護士を頼むので弁護士業界のパイが広がるようです。
しかし、弁護士会やこれから始る司法センターが、強制的に弁護士を割り振り、依頼者から弁護士の選択権を実質的に奪う制度では、弁護士自身の発展性がありません。
弁護士も客の満足度よりも、下請け事件が多く来るようにエネルギーを使うことになっていくのでしょう。
物であれサービスであれ、配給制では、さしあたりの需要が増えるでしょうが、長期的にはその産業のレベルが下がり、業界全体が駄目になる事が多いのです。
配給制・弱者救済システムは、シビルミニマムを守るためには必要ですが、弁護士需要の殆ど全部に広がると、弁護士業自体が腐ってしまわわないか心配しているのです。
20数年前に読んだ本では、確かドイツの実態ですが、(法律扶助の行き渡った所では、)弁護士が食べていけずに、結果的に生活保護所帯に転落している弁護士がかなりの比率に上っていて、タクシードライバーをしている者もかなり存在する現実が報告されていました。
貧者に対する法律扶助その他公的サービスが必要であるとしても、それはあくまでも国民のホンの一握りに限るべきであって、国民の大多数が利用できるようになると、配給制度類似になってしまいます。



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