07/03/05

破産事件の現状6(誰のための破産制度か?4)破産法4

前回まで見たように、債権者にとって破産申し立ては経済的意味がないことから、殆ど使われていなかった法律です。
免責規定が創設されたことと、サラ金業者の発達から、破産法が苛酷な債権取立てから逃れるための債務者救済の機能に様変わりしていたのです。
この運用の変化については、微力ながら私が先駆的役割を果たしたと自負していることは、04/30/02「破産 5 (破産は日本の為になるか?1)以下05/03/02「破産 8(破産とサラ金の合理化)」の連載で紹介しました。
私の孤独な戦いを当時私の事務所で働いていた弁護士が見ていたらしく、あるパーテイで彼が言及してくれました。
(私のためのお祝いパーていですから、持ち上げは当たり前ですが・・・・。)
自らから申し立てる人の心理は、泥棒がヤクザに捕まったとしたら、警察に引き渡された方がよいと言うのと同じで、   
     「全財産を失っても公正(難しい言い方をすれば、適正手続きの遵守)にやってくれる方がよい」
と言う裁判所に対する期待感が、その底流にあります。
前回までのコラムで、債権者申し立ては寡聞にして知らないと書いたのは、私個人の乏しい経験からの考えでしかないのですから、統計的な客観性がありません。
しかし、今年の春先に千葉県弁護士会会報に会員弁護士が書いていた文によると、彼はこれまで、およそ1000件の破産申し立てをしているが、今まで債権者申し立て事件を扱ったことはないと書いています。
      「破産制度は債権者のためにある」
と、千葉地裁が宣言する以上は、実際のところ、債権者申し立てが年間受理件数の何%あるのか、またその内容はどうなのかについて千葉地裁に聞きたいところです。
裁判所は、
       「債務者による破産申し立ても、債権者のためにするものだ」
と強弁するのかも知れません。
しかし、債務者が弁護士費用や、申し立て予納金・印紙、郵券を納付して何回も弁護士に相談や打ち合わせのため通って、必要な膨大な資料を用意するのは、自分が助かりたいからであって、債権者のための申し立てでは100%あり得ません。
本当に債権者のための制度であるならば、自分で費用を払って申し立てる債権者・会社があってもいいはずです。
破産者と債権者とを比べれば、経済力の格差が歴然としていますので、債権者・たとえば武富士が予納金その他合計2万円前後の実費を負担できないとは到底考えれません。
その僅かな費用を惜しんで、膨大な債権者が殆ど申し立てをしないのは、債権者のための制度ではないことを如実に物語っているでしょう。
債権者(金融業者)は、破産による公正な手続きよりも、最後の最後まで取り立てをしている方が、債務者が親戚や友人から借りてでも払ってくれますので得なのです。



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