07/01/05
破産事件の現状4(誰のための破産制度か?2)破産法2
しかし、御存知のように現在では、個別執行制度が完備され、把握の困難な、各種将来債権や集合動産でさえ担保になる時代ですから、債権者にとって包括執行である破産申し立ての実益が減少したどころか後記のとおり殆どなくなっているのが実状です。
そこで現在の破産申し立ては、100%といってよいほど債務者が申し立てるものであって、寡聞にして債権者の申し立てを聞いたことも担当したこともありません。
債権者申し立てが有るとしたら、債権回収を有利に運ぶために、いやがらせ的な破産申し立てがある程度でしょう。
いわば制度の悪用事例です。
どういう場合かと言うと、
「兄弟の保証人になっていて巨額の保証債務が発生したものの、すぐには払えない堅実な農家やサラリーマン、商売人がいるとします。」(保証債務というのは、おおむね日常債務に比べて巨額です)
「分割払いにしてくれ」
とか、
「債務1部減額などの交渉になる」
のが普通ですが、債権者が1度に支払えないなら「破産申し立てをするぞ」と脅したらどうでしょう?
破産を申し立てられると堅実に経営している会社が倒産し、社員も路頭に迷ってしまいます。
現在では、債権者が費用をかけてまで申し立てる事例は、こうした乱用事例しか考え難いのです。
債権者にとっては、債権回収が合理的な経済目的ですから、前記の強迫目的以外に本当に破産になってしまうと何のメリットもありません。
債権者申し立てを合理的に解釈すれば、当然のことながら最終的には配当が有ることを前提にしていると言うべきでしょう。
(配当すべき財産のない場合に、債権者としては申し立てる実益がない筈です。)
債務者の自己整理に任せられないという場合ですから、保全命令を得たりするなど大掛かりなものになり勝ちですから、予納金も最低でも何百万円も必要とするでしょう。
申立て人は、弁護士費用その他膨大なお金を使いますが、破産による配当率は、申立て人だからと言って特に有利にしてくれるわけではなく、何もしなかった他の債権者と同率でしかないのです。
しかも、手広く商売をしている場合でも、たとえば年商10億の売上のある堅実な会社でも自宅や法人資産にはがっちり担保がついているのが普通です。
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