07/09/04
ゆとり 10(能率)
高能率と言うのは、分刻み、秒単位の忙しさと親戚です。
いつも1分1秒を気にしながら生きていて、ゆとり重視とは滑稽です。
ゆとりとは何でしょうか?
私が弁護士なったばかりの何年間かは、正月の松の内は挨拶回りにくる人などの応対で終わり、法廷は15日以降(15日から20日までは、臨時的なものだけで連日開廷になるのは、21日以降でした)しか入っていなかったのです。
その頃は法廷外の交渉事件は、皆無に近い時代でした。
それが正月明けが3ヵ日だけから4日、5日と長くなっていくにつれて、(初日の顔合わせだけなら、その日は休みにしてしまおうと言う思想です。)休みが増えた分事務所に出たとたんに通常業務開始となってきました。
その頃は、仕事始のOLは和服姿で、テレビや新聞紙面を飾りましたが、直ぐ仕事と言う時代の到来と共に、姿を消してしまいました。
また、例えば千葉地方裁判所には佐倉支部がありますが、当時総武本線は電車が2〜30分に1本でしたので、時刻表によっては、裁判が終わってから駅に向かうのに、タクシーを呼ばず、ぶらぶら田んぼ道を歩いて駅に向かったものでした。
あるいは、駅のベンチに座布団を敷いてあって、そのベンチで座って置いてあるテレビを見て電車を待ったものです。
野球の長島選手の引退発表は、長島の出身地である佐倉駅の待合室で牛乳を飲みながら、テレビで見たのです。
不便でゆとりのある時代でもありました。
それが、今では10分間隔くらいに電車があるので、勿体なくて歩いていられないのです。(田んぼも今では団地などになってしまってありませんが・・・・)
勿論駅の待合室は、とっくになくなってしまいました。
土曜休業もそうです。
休みが増えたのはいいのですが、土曜日は法廷がないので、昔は書類整理したり、仲間の弁護士と碁を打ったり余裕の1日でしたが、これが休みになってからは、金曜日までの5日間で片付けねばならないので、日常業務が極めてタイトになってしまいました。
サラリーマンにとっては、新幹線はその最たるものでしょう。
それまで京都や大阪へ出張となれば、1泊どころか2泊は普通でしたから、夜は楽しみがあったのですが、新幹線が出来てからは日帰りですので、新幹線でビールを飲みながら帰る楽しみしかなくなっているようです。
うっかりすると会社に1度戻らねばならないので、(名古屋とか上越新幹線など2時間コース)ビールも飲んでいられません。
こうして文明の利器の発達が能率よくした面は否めませんが、その分せちがらくなったのは明らかです。
産業構造もこれに連れて大雑把な儲けから、一点あたり何円何銭と言う細かい、半導体チップのような製品が産業の中心になってきて、やることが細かくなる一方です。
私などは、駅に近いこともあって、朝事務所に出かけるのに、1〜2分しか電車を待ったことがないのですから、もはや、セカセカ人生の病膏肓に入っているという部類かも知れません。
ただ、弁護士の仕事はまだそれ程細かくなってないので、精神的には助かっています。
これが先端産業ばりに細かい仕事になってくると大変です。
経済大国維持のために、国を挙げて高能率の推進・僅かな利ざやを追い求めるのは仕方ないとすれば、意識してゆとりを取り戻さないと、国民の精神構造がおかしくなってしまうでしょう。
能率・生産性向上を目指していると、その分まとまった休み、バカンスが必要になるようです。
ゆったりした時間観念で、生活していた昔の農業、漁業では、バカンスは必要なかったのではないでしょうか?
その時代には、サラリーマンも勤務時間中に床屋に行ったり喫茶店に入ったり、かなりルーズでした。
都心の官庁などの大きなビルの地下1階には、床屋が入っていたのを記憶している方もいるでしょう。
いまやそう言う勤務態度は、影をひそめてしまいました。
休日が増えたから仕事がきついのか、仕事がきつくなったから休日が増えたのかと言うところです。
休日の必要性については、06/12/04「畑作牧畜文明 (粗放農業)の日曜休日と稲作文明の休日」のコラムでも書きました。
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