06/22/08
人材派遣と生活保障9(雇用側と求職側の非対称性)
仲介業に純粋化すれば、派遣された人材は派遣先の従業員になるしかないのですから、派遣社員との賃金格差も雇用保障もなんら問題がなくなるのです。
従来どおりパートか契約社員かの社内問題だけです。
職業安定法では、厚生労働省令で定めるときを除いては、求職者から手数料を一切取ってはいけないのですが、現在の派遣制度は、受け入れ企業には一切の負担がなく、逆に派遣される労働者の方がピンハネによって事実上職業紹介手数料をとられる仕組みです。
(その分派遣先企業側では、派遣元会社に高く払っているとも言えます)
ともあれ、現在の派遣社員の手取り収入は、派遣先社員に比較してかなり低い水準ですが、これは臨時応援要員としては、本来安定した常雇いより高くなければならないのに逆に安いのですから、経済原理に反した結果・・すなわち不正義です。
どうして、このような不合理な結果が生じたのかを考えてみると、21日・・1に書いたように比較すべき新人=若年労働者の賃金が彼らの働きに比して比較的低いことと、たまたま、彼らは社会的弱者であるから、「そんな比較はおかしい」と声を挙げられないことに尽きるでしょう。
同じく、仲介に頼る関係でありながら、採用側は強いことを言えて求職側が極端に弱いのです。
形式を見ますと、人手が足りないと困るのと雇用先がないと困るのとが対応関係にありますし、求職側も企業を選択できるのと同様に企業側も採用面接などで、拒否権があるのが対応関係です。
しょっちゅう職場が変わると求職側ではスキルアップしないので困るし、雇用側でもしょっちゅう新人教育をしなければならないのでは困ります。
これらは、一見対称性があるようですが、同じ困るのでも、その困り方が大きく違うのです。
企業側は、人材が短期に入れ替わってスキルアップしないなら、職務を細切れにして単純作業要員として、労働者を階級分化するなどの対応策が取れるのです。
あるいは、パートやアルバイトの時間を3時間づつに細切れにしてもそれほどの負担のない職場もありますが、働く方は、1日に3箇所も違うところに働きに行くのでは、身が持ちません。
このように、交渉のテーブルが対等ではないのです。
男女平等のように見えても、離婚後の生活能力には実際に大きな差があるので、男性側からの離婚は簡単に認められないのと同じです。
派遣や臨時職人単価と似た事例は、臨時に頼むから、単価が高い筈の下請け業者についても言えます。
下請けについても多くの得意先を抱えている方が従属性が低くてよいのですが、専属的になる方が仕事がしやすくてより良いので、そちらにシフトしがちなのです。
結局、専属あるいは継続的下請関係・・従属関係になることが、事実上の低賃金構造を生み出すのでしょう。
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