06/13/08
医療観察法10(再犯率)
やくざなどのアウトローによる再犯はいくらでもありますが、この法律が出来る前にも、精神病者による凶悪事件の再犯は皆無に近かったのではないでしょうか?
この種の正確な統計は見たことがありませんが、精神病者による再犯の殆ど全部は無銭飲食・近所迷惑など軽微な犯罪ばかりだったでしょう。
こういう人たちこそ、早期に精神医療または、(実は知恵遅れ・・発達障害との合併症の場合が多いので)障害者支援の対象にすべきでしょう。
1〜2年前に奈良の「騒音おばさん」が逮捕された報道がありましたが、これなどは刑事事件にするよりは、ケアーが必要な部類だったはずです。
ケアー体制の不備をごまかすために、無理に刑事事件にしている印象です。
医療観察法の実効性を検証するには、同法第1条にあるように「重大」凶悪事件の再犯率を精神病者と一般人の再犯率とを比較した統計が必要だった筈です。
昨日紹介した精神障害者の起こした事件の統計は、奈良の騒音おばさん事件のような精神・知的障害者の可能性のある軽微犯罪(これは繰り返しやすいのです)が多数含まれているので、凶悪事件とは限りません。
精神病者の重大事件の(こそ泥や無縁飲食その他軽微事件を除く)再犯率が一般人による凶悪事件の再犯率と変わりがないか、もしかして、むしろ低かった場合には、精神病者に限るこうした予防拘禁制度は治療に名を借りた憲法違反の疑いがあることになります。
その意味では、きめ細かな比較資料が必須ですが、こうしたことに関する正確な統計がインターネットに出ないので、感触でしか、書けないのですが、私の職業上の感触では、精神病者が殺人その他凶悪事件を繰り返した事例を知りません。
(彼らは全部初犯です)
現在の精神医学では、医療観察法に言うところの将来「同様の行為を行うことがない」と断定できるほどの能力はありませんから、こんなことを要求されたらすべての鑑定が、入院治療の必要性を認めることになるしかないでしょう。
将来絶対に同様の行為を起こさないとは言えないまでも、一定期間の服薬で殆どの場合、急性期を脱することも医学上明白です。
そして、重大事件を起こしてからの逮捕勾留(約22日間)とその後の鑑定期間を経ると急性期の治療期間がほぼ経過していることになります。
ちなみに、上記騒音おばさんの事件は、役500日間の勾留だったそうです。
現在私の担当してる事件では、公判が終わって心神耗弱を理由に執行猶予になってからの鑑定でしたので、鑑定になるまでに数ヶ月以上の刑事裁判期間経過があったのです。
これだけの長期期間経過後では、疾うに急性期を脱していますので、「同様の行為を行うこと」がないようにするために、強制入院に切り替えたとたんに、いまさらどのような新たな治療が出来るのか?その治療でどのように変化させられるのかが疑問です。
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