06/06/08

らい予防法の歴史6

あるいはいくら何でも、戦後のこの時期になるとらい病を遺伝性疾患の中に組み入れて優生手術の対象にするのは、国際社会の常識に合わなくなったから、無理に実態に合わせたものかもしれません。

 

優生保護法

第3条

1 医師は、左の各号の一に該当する者に対して、本人の同意並びに配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様な事情にある者を含む。以下同じ。)があるときはその同意を得て、優生手術を行うことができる。但し、未成年者、精神病者又は精神薄弱者については、この限りでない。
 一 本人若しくは配偶者が遺伝性精神病質、遺伝性身体疾患若しくは遺伝性奇形を有し、又は配偶者が精神病若しくは精神薄弱を有しているもの
 二  本人又は配偶者の四親等以内の血族関係にある者が、遺伝性精神病、遺伝性精神薄弱、遺伝性精神病質、遺伝性身体疾患又は遺伝性畸形を有しているもの

三  本人又は配偶者が、癩疾患に罹り、且つ子孫にこれが伝染する虞れのあるもの

 

上記条文を見ると、さすがに戦後になると国際交流が盛んになりますから、遺伝性の仲間に入れるのは、学問的に無理があったので、独立の号を起こして「子孫に伝染するおそれ」とごまかしています。

戦後の優生保護法成立までは、遺伝性があると誤魔化して手術していたのでしょうが、誤魔化しきれなくなったので、遺伝性があろうとなかろうと、ともかく手術を合法化したいと言うなりふり構わぬ関係者の熱意が、この3号に結実したのでしょう。

まさか、こうした無理な立法を成立させた功績をたたえられて光田氏が勲章を受賞したのではないでしょう?

ところで遺伝性もないのとすれば、何故本人の申請もないのに、優生手術をする必要があるのでしょうか?

(戦前は、遺伝性を前提としながらも、本人の申請主義でしたが、戦後は同意で足りるようになった違いを、05/18/08「優生保護法6(同意とは?)」のコラムで紹介しました。)

本人が避妊するのは勝手ですが、同意を得たとして不能化手術をするのは、事実上の説得・強制を意味しているでしょう。

そこで、苦し紛れに「子孫に伝染するおそれ」と書いてあるのですが、親になって乳飲み子を抱いて育てると伝染するだろうと言う心配でしょうか?

何でも理由をつければ付けられるでしょうが、もしも子育て時の密着接触が心配なら、育て方法の指導・・保育園に預けるなど工夫次第で、どうにでもなることですから、一般的に出産を禁じ生殖能力を不能化する必要までないでしょう。

伝染性の病気となれば、普通の病気と同じですから、(むしろ伝染性が弱く、滅多に伝染しないのです)隔離の必要性すら無くなってきていたのです。

 



関連ページリンク

Powered by msearch
稲垣法律事務所:コラム:検索

検索ベースはこちらから

 


コラムTOP

リンクを当コラムにはられる方はお読み下さい

©2002, 2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design / Maintained by Pear Computing LLC



ブログ
株式投資