06/16/07
非免責債権2(破産法19)不法行為債権とは?2(悪意)
条文は悪意の不法行為に限定しているものの、悪意と故意が同じならば・・実は大した違い・・意味がないのです。
破産法で言うところの「悪意」とは何でしょうか?
民法では悪意とは、行為・結果を知っていると言うだけの意味で、認識で足りるのですから、認識プラス認容が要求される故意よりも軽い段階です。
でも、それではあまりにも多くの契約違反行為が非免責になってしまい、おかしなことになるでしょう。
サラ金事件には、クレジットで物品を買って返せない債務も多く含まれているのですが、クレジット会社から不法行為で提訴されれば、故意の不法行為債権として非免責債権になることになります。
クレジット各社も、不法行為構成で請求すれば、非免責債権に早変わりと言うわけです。
やはりここで「悪意の」不法行為」と限定したのは故意より軽いという意味ではなく、「害意」に近い悪意・悪質な行為を意味すると解すべきでしょう。
実際破産法では、生命身体にかんする場合は、故意または重大な過失で足りると253条第3号で記載しているのですから、この比較から言っても生命身体に関しない不法行為は故意よりも重い意味・・・悪質な?の悪意が予定されているはずです。
信販・サラ金業者から、不法行為だからという非免責の主張が出ないのは、これまで書いてきたように、非免責になっても支払い能力のない者から取りようがないし、まともな企業は却って帳簿処理上も困ってしまうことと、悪意=害意と言う解釈によるからです。
この悪意と従来の故意の違いについて、客観的基準がないまま、非免責債権制度を残す・・あるいは広げると、その境界があいまいなままです。
もしもそうした非免責制度を維持するとしても、その債権全額を機械的に残すのではなく、その債権者の申し出でがあったときに、裁判所が個別事情によって例外的非免責とし、・・しかも事案による減額・・支払い方法まで決めてやる柔軟な解決策を残すべきではないでしょうか。
現在の法体系では、破産裁判所で審理決定せず、非免責債権であると主張するほうが、通常の民事裁判をして(たとえば、不法行為による損害賠償請求は地裁ですし、家事事件の養育料の請求は、家裁での審判など)判決その他の債務名義を取るしかないので、その段階で、実際の支払い能力など勘案して和解勧告になるのが原則です。
故意と悪意を截然と分ける客観的基準があれば、破産手続きとは別の通常裁判で、故意か悪意かの事実認定だけすればいいのですから、問題がないでしょう。
しかし、これまで書いているように悪意と言う概念は、普通の法学概念である善意対悪意とも違い、故意とも違いがあって、害意または害意に匹敵するようなものであると理解されているのです。
法学的に熟さない「悪意」概念で免責と非免責の区別が分かれるのでは、結果的に免責すべきかどうかの価値判断が先にあって、これに合わせて、
「この程度の故意があれば悪意だ」「この程度なら悪意にまで至らない」
と言う逆転現象・・事実に法を当てはめるのではなく、担当裁判官の価値判断に事実認定を当てはめる運用になる危険があります。
もしも、そうなるとすれば、価値判断すべき裁判所は総体の債務状況や債務発生原因を知悉している破産裁判所が決定すべきではないでしょうか?
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