06/28/06

連帯責任4と連座責任3(会社法5)

5月1日施行の会社法までの商法では、行政組織で言えば内閣に当たる取締役会で決議した事項について、ある議案が会社に損害を与えた場合、明確に反対した議事録が残っていない限り、取締役の連帯責任となっているのは、内閣の連帯責任同様の考えから来ているのでしょう。
取締役の場合、反対したことが証明されれば責任がないので、そこが内閣と違いますが、商法では議事録に異議をとどめておかないと賛成したものと推定されていましたので、その証明責任が取締役にありました。
商法では兎も角証明すれば責任を免れるのですから、取締役の責任は、連帯と連座制の組み合わせかもしれません。
今年の5月1日から、会者に関する法律が商法から独立して会社法が施行されましたが、この部分では、これまでの商法とほぼ同じ仕組みです。
議案に反対の人はきっちり議事録に残しておいた方が証明が簡単ですから、旧来の精神で行動した方が間違いがないでしょう。
商法が会社法の両方を紹介しておきましょう。
商法では議事録に異議をとどめておかないと賛成したものと推定されましが、会社法369条の第5項にあるように同じです。
内閣では、反対したかどうかに拘わらず、連帯責任ですが、商法及び会社法では、意思主義が貫徹されていて、反対したことを証明できれば責任をとらなくともいい仕組みです。
取締役は法の建前では、各株主の対立した意向によっていろんな利害の代表として選任され、取締役会でも、意見対立が前提ですから、一心同体を前提とする内閣とは違うのです。
以上は建前だけで、実際は社長のイエスマンばかりが取締役に抜擢される運用ですから、本当は、内閣構成員と大差ない責任を取るべきでしょう。
そこで、商法では原則と例外を逆にして反対したことを証明したときだけ、免責される規定になっていたのでしょう。
これが会社法でも引き継がれているのです。
以下、新旧の条文を紹介しますので、比較して見てください。

会社法(平成十七年七月二十六日法律第八十六号)(競業及び利益相反取引の制限)
第三百五十六条  取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一  取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
二  取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。
三  株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。
2  民法第百八条の規定は、前項の承認を受けた同項第二号の取引については、適用しない。
第三百六十九条  取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。
2  前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。
3  取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
4  前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
5  取締役会の決議に参加した取締役であって第三項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。
第十一節 役員等の損害賠償責任
(役員等の株式会社に対する損害賠償責任)
第四百二十三条  取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この節において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2  取締役又は執行役が第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定に違反して第三百五十六条第一項第一号の取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。
3  第三百五十六条第一項第二号又は第三号(これらの規定を第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取引によって株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる取締役又は執行役は、その任務を怠ったものと推定する。
一  第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取締役又は執行役
二  株式会社が当該取引をすることを決定した取締役又は執行役
三  当該取引に関する取締役会の承認の決議に賛成した取締役(委員会設置会社においては、当該取引が委員会設置会社と取締役との間の取引又は委員会設置会社と取締役との利益が相反する取引である場合に限る。)



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