06/21/05

毛の国とは?(上野=こうづけと読む訳)

不毛と言えば、「毛の国」に触れざるを得ません。
ご存知のように、群馬と栃木両県は、上(かみ)つ毛(け)、下(しも)つ毛と言う「毛の国」でした。
不毛どころか、北関東は「毛の国」だったのです。
これが、後世に「上つ毛野国」、「下つ毛野国」と上下に分かれました。
栃木の人は「下の毛の国」と呼ばれるのを嫌がって、そのうち、いつの間にか「毛」という字を省略した、「上野国」「下野国」と表記されるようになったのです。
それでも訓読みは「上つけ、下つけ」と言う読み形で残ったままらしいです。
この由来がわかると何故、吉良上野介(こうづけ)と「野」という漢字を「づけ」と読むか分るというものです。
こんな俗説・妄言は、私の得意な独断偏見ですから、辞書を見ても書いていないでしょう。
ところで、毛の国とは、どう言う意味でしょう?
われわれ法律家では、民法の勉強で「稲立毛売買」というのがでて来ます。
ただし、戦前育ちの学者の本で勉強したので、そうした古い取引が例として出ていたのですが、今の若手の法律家は、読んだことがないと言うかもしれません。
すなわち、毛とは五穀が生育して、ようやくはえてきた稲穂(だけでなく稗粟などすべての穂)の状態をあらわすのが、もともとの語源です。
2毛作と言う言葉は誰でも聞いたことがあるでしょうが、同じ水田や畑で米だけ年に二回の場合は、2期作と言い、米と麦など別の物を作れるときに2毛作と言うのです。
ま、不毛の地とか2毛作などの用例は、「毛」が動物の毛ではなく、五穀を表すものである例です。
不毛の地とは、動物のいない地と言う意味ではありません。
動物の毛は、5穀の穂から転じた2次用例なのかと思いますが、確かなことは知りません。
いずれにせよ、北関東の山すそには、「麻だけでなく五穀も実っているよ」という意味があったのかもしれません。
ここで、北関東では絹との関係が気になるのですが、それにしても、蚕は毛のないさなぎ状態で飼うものですから、蚕から毛の国と言うようになったというのは無理があるでしょう。
それにしても、五穀は全国どこにでも育つものですし、この地方だけ特に豊かと言うわけでもなさそうですから、関東の中では、特色といえるでしょうが、全国基準の国名にするほどのことがあったとは思えません。
矢張り、アイヌ人が多くいて、毛むくじゃらの人が多かったところから、毛の人の国と名づけられたと言う俗説と五穀も出来るという意味・・・両方の掛け言葉と考えるのはどうでしょうか。
ところでアイヌ人は、もともとは関東平野のあちこちにいて、北関東の山すそにだけいたのではないのです。
6月20日・・・・1「入植と先住民の関係1」以下で書きましたが、和人の進出によって、次第に山際にアイヌの生活域が縮小していった結果、山岳民族として遅くまで残っていたという意味ではないでしょうか?
世界中の山岳・少数民族は、その歴史をたどるとそういう傾向があるようです。
ちなみに「毛の国の風土記」は残っていませんので、推測しかないのです。



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