06/03/05

唯一神信仰と独裁2・・・・多神教の国と合議制2(内閣法1)

内閣が何故こんなに短命なのかと言うと、古来から特定人が同じ職に長くとどまるのは、嫌われる慣習があるからと言えるでしょう。
いろいろな協会、商店会などの会長職などは、普通持ち回りで任期も短いのが普通です。
江戸時代各藩でも、家老や奉行になれる家柄というのがあって、これも持ちまわりだったものです。
徳川家の老中や奉行の月番制もそうです。
こうした慣習を踏まえて、法的にも内閣総理大臣が独裁権能を持てない仕組みになっているのです。
橋本政権のときだったかに、総理の権限強化が叫ばれて大改革があり、その果実として今の小泉総理の権限が大きくなったと言われています。
それでも条文で見れば、総理の発議権が規定されただけで終わったように思えます。
参考までに内閣法を見ておきましょう。(やっと法律家のコラムらしくなりました。)

内閣法(昭和22・1・16・法律5号) 第3条 各大臣は、別に法律の定めるところにより、主任の大臣として、行政事務を分担管理する。
2 前項の規定は、行政事務を分担管理しない大臣の存することを妨げるものではない。
 
第4条 内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。
2 閣議は、内閣総理大臣がこれを、主宰する。この場合において、内閣総理大臣は、内閣の重要政策に関する基本的な方針その他の案件を発議することができる。
《改正》平11法088
3 各大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めることができる。
 
第5条 内閣総理大臣は、内閣を代表して内閣提出の法律案、予算その他の議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告する。
 
第6条 内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。

以上に明らかなように、内閣法では総理はせいぜい議案を発議して閣議にかけることが出来るだけであって、法案など重要事項は全て閣議決定が必要な仕組みです。
そして、総理は
「内閣を代表して内閣提出の法律案、予算その他の議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告する。」
しか出来ないのです。(自分ひとりの意見で法案などの提出権はありません。
また各省大臣に対して、郵政改革などで「しっかりやれよ」と一般的な指導は出来ますが、各省の官僚に対する直接の指揮権はありません。
アメリカでも、国民の反対する法案は議会を通過しないのは同じですが、ともかく政府案としては大統領一人の意見でも出せる大統領制と、総理がいくら力んでも閣議で通らなければ、政府案として外部に一切出せないのとでは大違いです。
任免権を握っているとしても、それは平安時代の道長や徳川の実力老中なども事実上同じでしたから、結局江戸時代の老中の合議制を引きずっているのです。
この違いがあるために、アメリカの各省庁の長に対する呼称として、「大臣」の翻訳を使わず、単なる手足としての意味で、国務「長官」、国防「長官」、商務「長官」などと言うわけです。
アメリカやフランスは民主制と言っても、行政権を握ったら行政そのものは、大統領の独断で何でもできる仕組みですから、わが国とは考えの根本が違うのです。
法律が必要なときだけ、議会の承認がいるし、具体的な法の適用場面では司法の独立があるという牽制関係があるのですが、それはあくまで外部機関としての牽制・控制としても位置付けでしかないのです。



関連ページリンク

Powered by msearch
稲垣法律事務所:コラム:検索

検索ベースはこちらから

稲垣法律事務所コラム内:歴史に関するコラム


コラムTOP

リンクを当コラムにはられる方はお読み下さい

©2002, 2003, 2004, 2005, 2006 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design / Maintained by Pear Computing LLC



ブログ
株式投資