06/25/04
根拠もなく(事実の適示がなく)「お前は馬鹿だ」「アホ、馬鹿、間抜け」と言われても、もともとの客観的な評価が変わらないのですから、名誉毀損とは言いません。
こう言う場合、感情を害されるだけですから、侮辱されたと言うのです。
侮辱罪は、名誉そのものではなく、名誉感情が保護法益だと言われています。
条文を見ましょう。
刑法
(侮辱)
第231条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
事実を適示しないで単に「馬鹿、間抜け」というだけでは、誰も新しく事実を知ることがないのですから、客観的評価は変わりません。
内心の感情を刺激するだけですから、刑罰は軽いですよ。
拘留とは、一定期間拘置するだけのことで懲役刑とは違います。
前近代での囚人のイメージと思えば良いでしょう。
役務に服するのが懲役刑です。
服役刑は、江戸時代にやっと始まった刑の種類であることは、12/15/03「刑務所の歴史3(刑罰の種類1)」以下の連載で、書きました。
服役しない刑罰には、ほかに禁錮刑があります。
禁固とは、禁足のイメージから分るように、昔の閉門蟄居の現代版と言うところでしょうか?
拘留刑とどう違うか分り難いでしょうが、犯罪には破廉恥な犯罪による刑罰と明治時代の国士の政治犯や江戸時代でいえば、身分の高い者が服する刑罰とがあります。
破廉恥犯に対する身体刑には、重いのは死刑から懲役、最も軽いのが拘置刑と言う訳です。
これに対し、政治犯などには服役をさせるのはおかしいということから、禁固刑となっているようです。
名誉毀損罪も政治的な場合が多いことから、禁錮刑になったのかもしれません。
ところが、民主主義国家になったということで、ずばり、思想信条自体を理由に逮捕されることがなくなったので、その実質が政治犯であっても実際の運用では、政治犯は必ず、選挙違反、脱税やその他の名目で逮捕されます。
そこで、今ではこうした区別は、意味をなさなくなっているようです。
現在の実務で禁錮刑に処せられているのは、交通事故に代表される過失犯が中心です。
この点は、現在では政治亡命は、あり得なくなっていると言う観点から、01/22/04「中世から近世へ(国家権力の強化)2」コラムで書いたことがありますので参照してください。
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