06/18/04
男の沽券・面子3(恥の文化・・・菊と刀1)格式とメンツの違い
03/31/04「男の沽券(沽券)面子とは?2(農地売買の禁止)」のコラムでの農地移動制限の話から農地法・・・農業政策・・更に過疎対策法の話、更には、5
月3日は憲法記念日でもあったことから民主主義・主権在民の実現方法・政党批 判、祝日法更には、皇室のの役割、国民の仕事のあり方にまで話しが行ってしまいまし
た。
平成16年3月31日のコラムの続き・沽券が体面に変わった背景に戻りましょう。
今回問題にしているのは、沽券の現在的用法である体面のことです。
今でも沽券にかかわるタイプの人は、多分、近世の武力から文化へ、近代の肉体 労働から知識集約産業への変化に不適合を起こしている人種に多いのではないで しょうか?
05/20/03「結婚事情((初婚)1」のコラムから、05/24/03 「男の存在価値」以下のコラムで男女関係を連載してきましたので、参照して頂 きたいのですが、私の考えでは、男は、腕力に頼る限りに於いては、実用的能力
の喪失ないし、減少の連続でした。
ただし、長い時代の進展の過程で、かなりの男は、腕力に頼るだけではなく、そ れなりに文化的な仕事に適応して来たのです。
時代適応能力の個体差が生じますので、この適応能力に反比例して男の中で沽券 や面子にこだわる人の比率が、高くなると言うのが私の仮説です。
話しがさらに変わりますが、「恥をかかされる」という言葉があります。
御存じ、ルース・べネデクトの「菊と刀」で有名な「恥の文化」です。
以下は、例によって私独自の分析論に過ぎず、「菊と刀」の解説ではありません。
恥をかくと言うのは、どういう場合でしょうか?
汗をかくというのと同じ用法です。
ここで問題としているのは、内省に基づいて内心はずかしいと言う意味のはじ= 「愧」ではありません。
内面を表す「愧」に対し、「羞恥心」と言う熟語から分るように「恥」という漢 字の意味は、耳たぶを赤くする外面的なもので、汗をかく(汗顔の至り)と言う のと同じ用法です。
本当の実力が前評判程ではなかったのを、みんなの前で暴露されてしまった場合 の心理状態を言うものでしょう。
事前評価順位10番のものが、蓋をあければ3番であれば誇らしいものですが、 逆に1番だと思われていた者が3番だと分かれば、恥ずかしいものです。
天下に名の轟いていた吉岡清十郎が、当時無名の宮本武蔵に敗れたのは、一門存 続の危機とも言うべき恥になったのは当然です。
「恥をかく」と言うのは、事前の外部評価よりも実力が低いことが分かってし まった場合を言うのでしょう。
誰にも相応の実力があり、各種スポーツの世界大会でしょっちゅうトップが入れ 替わるのを見れば分るように、実力は刻々に変化しているものですが、評価の変 化は、かなり遅れるものですから、(死んで何十年も経ってから評価される芸術
家もいます)実力と評価の乖離はいつでもどアでも存在するものです。
江戸時代に限らず、世界中どこの国でも「恥の文化」が発達してもいい筈です
が、何故我が国だけ、しかも江戸時代の武士にのみ発達したのでしょうか?
05/24/03「男の存在価値」以下のコラムで書いたように、原始時代から
男が次第に安全保障業務から遠ざかっていましたが、武士だけはなお、近世初頭
まで安全保障業務に従事していたのです。
ところが、徳川の天下になって、平和な時代が到来し、支配者である武士層に とって、武力と言う実力が不要な時代がいきなりやって来ました。
こうして、03/07/04「武術からスポーツへ4」で書きましたが、武術が 実用から離れて外部評価/スポーツ化が進んだことと、武術家の建前上の高評 価・名誉と実務上の無能力・すなわち内実と外見の乖離の発生と、体面や面子重
視文化は関係があると言うのが私の仮説です。
現在用語で見ても、もともと「名誉会長、名誉総裁、名誉理事、名誉5 段・・・・・・」と言うのは、それだけの実力のない人につける名称です。
名誉とは過去の栄光と言うところでしょうか?
まさに武家の格式は、徳川草創期に活躍したに過ぎないと言う意味では、過去の 栄光を表しているものと言えます。
こうして格式=名誉=それだけの実力がない=こだわりとなり、これを揶揄する卑俗用語がメンツと言うものでしょうか。
格式とメンツの違いは、格式は、格式相応の義務を伴うものである点で、客観的 なのに対し、メンツは、私的な内心の評価を意味する点で、主観的なものではな いでしょうか。
そして今では、格式を定める公的保護がなくなって、面子だけが残っていると言 う訳です。
だから揶揄されるのです。
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