06/09/04

国事行為16(憲法74)天皇家の存在意義13(大使公使の変遷1)

次に8号9号を見ましょう。

8.批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
9.外国の大使及び公使を接受すること。

外交文書とは条約だけではなく、これに準ずる重要文書の意味でしょうが、現在ではこれがかなり多いのです。
最近では、小泉さんが北朝鮮訪問で平じょう宣言とやらをやってきましたが、農産物交渉や通商摩擦など、こうした重要文書は、首脳外交時代ですからしょっちゅうあります。
江戸時代までは周辺国との交際しかなく、明治以降でもわずかな列強と周辺国くらいしか眼中になかった時代でしたが、現在では、国連加盟国だけでも、百何十カ国と言う時代です。
これだけの国があれば、外国の大使公使の接受とか、我が国の大使公使の発令だけでも年間膨大な数にのぼります。
そもそも、列強しかない時代とか、交通の不便な時代には大使と言うのはまさに君主に代わって1国の浮沈をかけて交渉してくる人物ですし、相手国君主にじかにまみえることの出来る資格、傑物が選任されるのです。
秦の始皇帝に対する刺客として有名な「荊軻」、秦の昭王へ使いし、怒髪冠をつく連城の璧の故事で有名な藺相如等すべて相手の君主と直談判できるものでした。
我国の明治初年の大使に関する詔勅を紹介しましょう。

1・・・・・欽差大臣伊達宗城ヲ清国ヘ遣ハスノ勅語(明治4年5月15日)
我邦清国ト壌地鄰ヲ為ス親交往来スヘシ爰ニ爾宗城ヲ以テ欽差大臣ト為シ清国ニ往キ鄰好ヲ修メ条約ヲ訂メ委ヌルニ全権ヲ以テシ便宜事ヲ行ハシム爾宗城其レ能ク両国ノ好ヲ成シ以テ朕カ望ニ副ヘヨ
2・・・・・・副島種臣ヲ魯国ヘ遣ハスノ勅語(明治4年5月22日)
我国魯国ト壌土最近シ交誼最厚ウスヘシ殊ニ樺太地方ノ如キハ彼我人民雑居往来各其利ヲ営ム之ヲ保全スルノ道ニ於テ豈心ヲ尽ササルヘケンヤ曩ニ嘉永五年魯帝全権使臣ヲ派シ経界ヲ定メンコトヲ議ス而レトモ互ニ事故アリテ其議成ラス爾後慶応三年ニ至リ彼得堡ニ於テ仮リニ雑居ノ約ヲ結ヘリ朕竊ニ方今樺太ノ形状ヲ察スルニ言語意脈ノ通セサルヨリ民心疑惑或ハ争隙ヲ生シ怨讐ヲ醸シ遂ニ両国交誼ノ際懇親ノ意ヲ失フニ至ランカ是経界ヲ定ムルノ最急務ニシテ独朕ノ深ク憂フルノミナラス魯帝モ又嘗テ大ニ心ヲ労セシ所以ナリ因テ汝種臣ニ命シ委ヌルニ全権ヲ以テシ往テ経界ヲ定ムルヲ議セシム爾種臣其レ機宜ニ従ヒ其事ヲ正シ両国人民ヲシテ其慶福ヲ保タシメ且ツ以テ交誼ノ益厚ク永久渝ラサランコトヲ是朕カ深ク望ム所ナリ爾種臣篤ク此旨ヲ体セヨ
勅語
3・・・・・・外務卿副島種臣ヘ勅語(明治6年3月9日)
朕聞ク台湾島ノ生蕃数次我人民ヲ屠殺スト若シ棄テ問ハスンハ後患何ソ極ラント今爾種臣ヘ委スルニ全権ヲ以テス爾種臣其往テ之ヲ伸理シ以テ朕カ民ヲ保ンスルノ意ニ副ヘヨ欽哉
辛未冬我琉球藩民台湾島ニ漂到シ其島ノ東部ニアル生蕃人ノタメ五十四人横殺ニ逢シ事件汝種臣ニ命シテ清国政府ニ派遣シ其処置ヲ談判セシム因テ朕カ委任スル要旨ヲ宣ス
以下省略(清が力及ばないと言えば、我国が台湾でやりたいようにやるという趣旨その他の訓示)
2・・・・・台湾事件ニ付全権弁理大臣大久保利通ヲ清国ヘ遣ハスノ勅語(明治7年8月5日)
天佑ヲ保有シ万世一系ノ帝祚ヲ践ミタル大日本国皇帝此書ヲ見ル者ニ宣示ス往歳我人民難船ノ為台湾島ニ漂到シ土人ノ暴行ヲ受ケタルヲ以テ其罪ヲ問ハン為ニ我委員ヲ命シ且不虞ヲ警ムルヲ以テ之ニ兵士ヲ附属シテ送リタリ此一挙ニ付両国間ニ不都合ヲ生シ交際ノ障碍トナラサル様深ク注意シ曩ニ我清国駐箚全権公使柳原前光ヲシテ大清国政府ト平穏ニ商議セシムヘキコトヲ命シタリ然ルニ爾後種々ノ論端ヲ啓クコトヲ致ス朕又タ以為ク事至重ニ属ス宜ク更ニ朕カ切近ニ望ム所ノ意ヲ熟知セル貴重ノ大臣ヲ簡テ委スルニ全権ヲ以テシ其事ニ任セシムヘシト朕深ク参議兼内務卿大久保利通ノ才幹忠直能ク其任ニ堪フルヲ信シ乃チ全権弁理大臣ト為シ大清国ヘ遣ハシ大清国皇帝ヨリ任スル右同権ノ大臣ト朕カ希望ノ趣ヲ達スヘキ条約ヲ約定シ又ハ約書ヲ締成シ而シテ朕カ名ヲ以テ其決議シタル書面ニ調印シ右事件ヲ充分ニ結落スヘキ権ヲ与ヘタレハ凡ソ這般ノ事ハ朕躬ラ其地ニ臨ミ親ラ之ヲ処スルト異ナルコト無キヲ証ス
・・・・・・・・・「朕カ切近ニ望ム所ノ意ヲ熟知している貴重ノ大臣ヲ簡(えらびて)テ委スルニ全権ヲ以テシ・・・・・・朕深ク参議兼内務卿大久保利通ノ才幹忠直能ク其任ニ堪フルヲ信シ」

と言うのですから絶大な信任です。
その結果、彼は乗るかそるかの交渉を纏めてきて、日清戦争までの約20年間にわたる国力充実時間を稼いだのです。




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