06/03/04

天皇家の存在意義6・国事行為4(憲法61)

前回まで見てきたように、天皇家が独立国にならない限り、国事行為は儀式的性格上、みづからが行うべき宿命があります。
そこで今回から、国事行為の現在的意味を具体的な数字を見ながら、考えて行きましょう。
第1号から順に行きましょうか。

憲法
第7条 本文省略
1.憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。

憲法改正と言うのは何十年に一回あるかどうかの大事件ですから、これからも天皇が公布するのは、まあ良いでしょう。
次の法律はどうでしょうか?
今では、大量に発生する法律や政令に、署名押印するのに精力の過半を費やすのでは意味がありません。
第1号の法律の公布数がどのくらいかについて、内閣法制局の統計を見ますと、以下のとおりです。
   

平成15年・・・・147件
平成14年・・・・・192件
平成13年・・・・・158件
平成12年・・・・・149件
平成11年・・・・・226件

政令の公布については内閣府のホームページによると、年間の統計がわかりませんが、今年の1月から4月14日までに公布した政令は11件になっています。
年平均30件前後と言うところでしょうか?
条約について、同じく法制局のホームページによりますと、以下のとおりです。

平成15年・・・・・18件
平成13年・・・・・12件
平成12年・・・・・・12件
平成11年・・・・・・21件

以上合計すると第1号関係だけで、天皇は年間200〜250件前後の法律・政令、条約文書に御名御璽していることになります。
ところで押印について考えてみますと、私が委員長や審査会の会長などになっている際に、公印は自分で押したことがなく、事務局が押して委員会召集通知など発行しているのですが、大手企業の社長なども契約文書に一々自分で押印しているわけでは有りません。
ただ、その場合には、実質的な内容決定権が私や企業の代表者にあるのですから、(発行文書をファックスでやり取りしてから私がオーケーしています。)
弁護士会や役所まで押印に行くのが面倒なだけなので、事務作業を便宜委ねているに過ぎません。
中国の歴代皇帝は、朝から晩まで大きなはんこを押すのに疲れきってしまい、爪を立てて代用し、役人が代わって押印していたらしいですが、それでも内容のチェック権はあったのです。
天皇の場合は、実質的決定権がないのですから、公印・即ち御名・御璽を役人に任せてしまったのでは、天皇が何をするの?と言うことになります。
そこですべてを自分で署名し、押印するとなれば、これが大変なことです。
一応、めくら判という建前では有りませんから、事前に役人から、法案や条約についてのご進講があって、その上での署名押印となるのでしょうから大変な作業です。
本気で説明を理解しようとして年間200件前後にものぼる法令とその改正前の法律の比較などを聞いていると、頭がボーっとしてしまうのではないでしょうか?
君主たるもの、法令を全部知っていなければならないという建前でしょうが、年金法案で露呈したように技術的な法律が多い時代ですから、日本中の法律を全部知っておこうとすること自体どだい無茶な話しです。
我々法律家でさえも、全部どころか殆どの条文を知らないのが普通で、知っている法律のほうが少ないのです。
毎国会にかかっている法律案件は、何百件もあるの?と驚くでしょうが、国会議員がそんなに活躍しているわけではありません。
年間200件前後にのぼる公布法令数の実態を、次回に紹介しましょう。




関連ページリンク

Powered by msearch
稲垣法律事務所:コラム:検索

検索ベースはこちらから

稲垣法律事務所コラム内:役人,官僚に関するコラム
稲垣法律事務所コラム内:役所に関するコラム
稲垣法律事務所コラム内:議員に関するコラム
稲垣法律事務所コラム内:国会に関するコラム
稲垣法律事務所コラム内:皇族に関するコラム
稲垣法律事務所コラム内:明治に関するコラム
稲垣法律事務所コラム内:憲法に関するコラム


コラムTOP

リンクを当コラムにはられる方はお読み下さい

©2002, 2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design / Maintained by Pear Computing LLC



ブログ
株式投資