06/11/03

公共の福祉と法律の範囲内の違い(憲法10)

前回のコラムで公共の福祉と言う理由で制限すれば、戦前「の国体に反する」と言う言い掛かりと同じように、幾らでも制限出来る危険性を書きました。
ただ、詳しく言いますと、法律的には随分違いがあります。
少し難しいですが、法律の範囲内という憲法の条文ですと、法律でどのような制限をしても、憲法違反にはなりません。
しかし、憲法で公共の福祉の範囲内と定めている時には、「これが公共の福祉だ」と法律で定めても、その制限が憲法の定める権利を侵害している場合にはその制限は、違憲・無効となります。
分ったようで分かりにくいと思いますが、いろんな制限が憲法の定めている権利に内在する制約か、それとも、権利の外から加えられている外部圧力かを争う事ができるのです。
道路を自由に通行する為には信号を守る事が必要ですから、道路交通法の信号やスピード規制、その他が憲法違反とは誰も思わないでしょう。
あるいは、運転免許もそれ自体の必要性には、問題ありません。
しかし、女性には免許を与えないと言う法律を作ったらどうでしょう?
女性でなくとも、キリスト教徒、共産党員、茶ぱツ等々の制限はどうでしょう。
これらの制限は、交通の安全には全く関係ない事を基準に差別するものですから、憲法の定める法の下の平等に反して憲法違反となります。
憲法に違反した法律は無効と言う事になりその法律に反しても処罰する事ができません。
このように憲法の中で、法律で制限出来ると書いているのと、公共の福祉の範囲と言うのでは憲法論的には天地程の差があるのです。
こういう分かりやすい例だと誰でも分かるのですが、実際はもっと複雑で、微妙です。
ここまで来ると誰が判定するの?と言うのが重要だと分ってくるでしょう。
ここで薬局店舗の距離規制に関する法律が、無効とされた有名な判例が有りますので紹介しておきましょう。(今年の5月5日のコラムの一部です。)
「薬局の・・地域的制限を定めた薬事法6条2項は、・・・・・公共の利益の為に必要かつ、合理的な規制と言う事は出来ず、本条1項(憲法22条職業選択の自由等)に違反し、無効である。」(最高裁大法廷昭和50年4月30日)




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