06/11/03

日本国憲法と裁判所(憲法11)(違憲立法審査権)

前回のコラムで分ったと思いますが、戦後憲法の大きな特色は、裁判所が憲法違反かどうかを最終的に判定できるようになった事でしょう。
憲法を見ましょう。
「第81条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」
日本の憲法は御存じのように、アメリカ軍の占領下で制定されたもので、モロにアメリカ法の影響を受けています。
アメリカは、イギリスからの独立によって出来た国ですので、その時の経験によって憲法秩序が出来ているのです。
イギリスは、議会万能主義でした。
日本の最高裁判所にあたる最上級裁判所は、貴族院が兼ねていたのです。
私が大学で習った頃の教科書は、そう書いてありましたが、今ではどうかなと思って1980年出版の英米法総論上下(田中英夫著)を買ってあったので、見直してみました。
同書365頁によると、「今日でも最高裁判所は、Housue of Load(貴族院)である。と書かれていて、1980年時点までは貴族院が、最高裁判所を兼ねていた事が分かります。
(その後改正されたかどうかは知りませんが、少なくともアメリカ独立戦争のころはそうだった事は間違い無さそうです。
ところが、国民の代表であるはずの議会が、不当な課税(ボストン茶条例など)や不当な植民地圧迫を実行したのです。
独立したばかりのアメリカでは、自分達の代表である議会も信用出来ないと映りました。
天賦不可譲の人権は、仮に議会の多数であっても奪う事は出来ない筈です。
これを守るには、完全な3権分立による、議会の横暴に対する控制しかありません。
この教訓が、裁判所による違憲立法審査権の確立となったのです。
如何に立派な憲法を制定しても、これに違反した法律を作って国民の人権を侵害している時に、「憲法違反の法律だから、処罰や逮捕を認めない。直ぐ釈放しなさい」と宣言してくれる国家機関がないと画餅(絵に書いた餅では、食べれないから実際的意味がないと言う事です。)に帰してしまいます。
国会の多数が、また治安維持法みたいな法律を作って、特高に無闇に逮捕させても、裁判所が憲法違反だと言ってくれないと何にもなりません。
戦後の人権確保、民主主義の定着には、こうした憲法の番人である裁判所の役割が如何に多きいかが、分かり戴けたでしょう。
この制度が日本にも導入され、憲法審査ができるようになったのですから、戦後の民主化を維持出来るか否かは、「憲法の番人」と言われるようになった裁判所の双肩に掛かったのです。




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