優生保護法17(癩病対策)
ところが、あえてこの3条が残ったのは、らい病に関しては、審査会を経なくて実施したい勢力が強くて、そのカモフラージュとしてこの条文が残ったのではないでしょうか。
繰り返し紹介しますが、3条の1項3号には、遺伝に関係のないらい病が唐突に出てくるのです。
これの実施を可能ならしめることこそが、優生保護法制定の真の動機だったのです。
第三条
1 医師は、左の各号の一に該当する者に対して、本人の同意並びに配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様な事情にある者を含む。以下同じ。)があるときはその同意を得て、優生手術を行うことができる。但し、未成年者、精神病者又は精神薄弱者については、この限りでない。
一 本人若しくは配偶者が遺伝性精神病質、遺伝性身体疾患若しくは遺伝性奇形を有し、又は配偶者が精神病若しくは精神薄弱を有しているもの
二 本人又は配偶者の四親等以内の血族関係にある者が、遺伝性精神病、遺伝性精神薄弱、遺伝性精神病質、遺伝性身体疾患又は遺伝性畸形を有しているもの
三 本人又は配偶者が、癩疾患に罹り、且つ子孫にこれが伝染する虞れのあるもの
1号2号ともっともらしく遺伝性の病気が先ず書かれていますが、本文但し書きで、精神病者には同意があってもだめだというのですから、この3条を利用して、審査会という第三者の目を経ない密室でやれるのは、結局、らい病や遺伝性身体疾患などだけとなります。
しかし、身体疾患で優生手術をする例は皆無に近いでしょうから、その前から実施されていたらい病だけがターゲットになっていたことが分かります。
身体障害者の場合、当時まだ家庭で面倒見ている時代でしたし、その後障害者施設が順次充実してきましたが、保護者とのつながりが強いので、容易に優生手術の同意は取れなかったでしょう。
癩病者狩りの結果、強制収用が進みましたから、そうなると長期間の間に院内での妊娠事例頻発し、この対策として結婚を認める代わりに優生手術を受け入れさせる・・同意手術が先行していたのです。
この最初の実施者として、のちに紹介する光田氏が有名です。
彼らの国会意見陳述・・これも後に紹介を読むと、これに対する法的お墨付きを求めて成立したのが、この優生保護法だったといえます。
実際、ライ病者に関しては、終身拘束で、家族から隔離された状態ですから、同意の有無をめぐって出所後争われるリスクがないからです。
ライ病は奴隷的拘束下で、懲罰に脅されながら生活していたので、圧倒的な支配被支配関係ですから、渋々の同意はいくらでも取れたから、・・・しかも3条の場合審査会などに訴える手続きがなく、密室下で完成するので、この条文はらい病者狩りにいそしんでいた勢力にとっては利用価値があったのです。
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