05/28/08

優生保護法12

この審査制度による強制優生手術制度は、本人の同意もいらない仕組みから考えても、患者の人権に対する配慮が全くない全体主義国家時代の遺物だったというべきでしょう。

これが、平成8年に母体保護法に改題されて、完全に断種手術制度が廃止されるまで、戦後約50年間も続いていた・・それもアメリカの影響の結果だったのです。

アメリカの優生手術励行思想の影響を受けていたわが国では、ことを人権の問題とせずに、医学知識の発展・・遺伝の定義は不能だと言う意識の定着まで待たねばならなかったからです。

こうした経過を見れば、第二次世界大戦が全体主義の日独伊枢軸に対する個人主義の米英仏連合国との戦争だったといっても、実は程度問題だったことが分かります。

私の言いたいことは医学的に特定の遺伝による、あるいは、治らないと言う定義が仮に可能であるとしても、そういう医学的審査だけで人の気持ちを無視して優生手術を強制して良いのかと言うことで、医学問題よりも人権問題だったのではないかということです。

現在も私のような視点での議論が無く(あるいは少なく)、単に「学問上遺伝とは言い切れない」から、あるいは「伝染性も大したことがなさそうだから」と言うだけの基準で議論され、法が改正されているのでは問題です。
らい病なども同じことでしょう・・これが「学問的に証明できないから」と言うだけでの隔離や優生術の中止になっているだけでは、将来、医学的に証明できる病気が出て来たら、今までどおり隔離し、断種を強制してよいと言うことになるのでしょうか?

やはり、これからは、医学的にどうであろうとも、人権侵害行為は許されないという視点から別途考えていくべき時代でしょう。

そもそも、不治の病というのは、医学的にその時代の水準ではどうにもならないというだけの話であって、その結果責任を患者や家族に負わせて、不利益や差別を強制するのはお門違いです。

ところで、この法律の分かり難さは、3条各号記載の病名と4じょう以下で利用される別表が一致していないので、3条但し書きで出来ない場合のすべてが、4条の審査手続きを経由すればできるとは限らないことです。

4条で「前条但し書きの場合には・・」審査手続きで実施すると言う書き方であればすっきりしますが、4条では別の表を利用しているので、3条の列挙と4条以下の対象となる別表との関係は、どういうことになるのかややこしい関係です。

以前書きましたが、以下にもう一度条文を紹介しますが、3条は同意で実施する関係があるからでしょうか、対象病名が○○疾患などと漠然としています。

優生保護法

3条(1項本文省略)

一 本人若しくは配偶者が遺伝性精神病質、遺伝性身体疾患若しくは遺伝性奇形を有し、又は配偶者が精神病若しくは精神薄弱を有しているもの

 二  本人又は配偶者の四親等以内の血族関係にある者が、遺伝性精神病、遺伝性精神薄弱、遺伝性精神病質、遺伝性身体疾患又は遺伝性畸形を有しているもの

以上に対し、4条や12条では、本人の意思にかかわらず強制実施できる関係で強制できる範囲を明らかにするために、別表で具体的一義的に病名を特定する必要があったことが分かります。

 



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