05/27/08

優生保護法10(行為無能力制度)民法390

身体疾患には、短期長期の区別があっても大体一定の方向へ悪くなる一方だったのですが、最近ではガンでも、退院・小康状態と再発・再入院の繰り返しがあるようになって来ました。

実際には、深層では、病状が一直線に進んでいるのでしょうが、現在の医学知識ではわからないので、外部に現れた症状を経過観察するだけですが、再発までの間外見上元気になるのと同じです。

精神病にはこうした特徴が以前からあるので、法律上も「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」と言う定義で無能力制度が出来ているのです。

普通の理解とはちょっと違うでしょうが、「常況」とは、悪い状態に焦点を当てた言葉ではなく、逆に「時々よくなることがある」と言う意味です。

民法

(後見開始の審判)

第7条 については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。

ひとたび、意思能力が無くなれば、その後ずっと意思能力がないままならば、無能力制度はいりません。

その人の法律行為は常に不成立だからです。

ところが、時々意思能力の回復している場合があるので、その行為をしたときに回復していたかどうかの立証問題が起きるので、それを防ぐために、行為無能力制度が設けられているのです。

行為能力制度については、12/24/02「行為無能力者と意思無能力者(民法27)」のコラムで紹介しました。

ですから行為無能力制度は、「常況」にあるかどうかであって、個々の行為時に能力が回復していたかどうかを問わない制度です。

前回書いたように、精神病者はいつも精神病者では無く、正常な時もあるのですから、医師の診断で、「今、治っている」と診断さえすれば、第3条で本人の同意だけで断種手術をしてしまえると言うのでしょうか?

これでは医師の好き勝手を許すような感じですが、こうなると医師もリスクを負いたくないから却って慎重になるでしょうし、後述の審査会制度があるのですから、別表に該当する場合には無理な手術をする必要がないでしょう。

本当に小康状態になった精神病患者がつくづく反省して「俺は子孫を残さないほうが良いか」と考えて医師に相談した結果、手術に踏み切った後で「あの時は正常ではなかった」と言い出して、逆恨みされて追い回されるのでは、リスクが大きすぎるでしょう。

そこで、精神病者の場合、第4条で別表記載の疾患に該当する場合、審査会の審査を申請すれば本人の同意は問題になりませんし、医師はまた別表に該当する以上は申請しなければならないと言う仕組みにしたのです。

 



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