05/27/08
優生保護法9
優生保護法に戻りますと、3条各号は精神病関係の障害が多いのですが、それにも拘わらず、精神病者等を除く但し書きの意味は何でしょうか?
条文では、「除く」のではなく「その限りでない」と言う表現ですから、若干制限が弱い感じです。
一般的に「その限りにあらず」というときは、一定の義務があって、その義務を免除ないし緩める・・許容する・・「まあいいか」というときに使う言葉です。
しかし、その前の文章(本文)は義務ではなく、する「ことが出来る」というだけですから、「しなくとも良い」と言う意味の但し書きは不思議な文章です。
この後の「らい予防法」の説明で書きますが、無ライ県運動などで知られるように、らい病者狩りが横行していた時代でしたから、この当時には、医師にとっては関係者の同意を得て優生手術をすることが事実上義務付けられていた・・そういう圧力があったことが、このようなニュアンスの文言になったのでしょうか。
優生保護法
第三条
1 医師は、左の各号の一に該当する者に対して、本人の同意並びに配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様な事情にある者を含む。以下同じ。)があるときはその同意を得て、優生手術を行うことができる。但し、未成年者、精神病者又は精神薄弱者については、この限りでない。一 本人若しくは配偶者が遺伝性精神病質、遺伝性身体疾患若しくは遺伝性奇形を有し、又は配偶者が精神病若しくは精神薄弱を有しているもの
二 本人又は配偶者の四親等以内の血族関係にある者が、遺伝性精神病、遺伝性精神薄弱、遺伝性精神病質、遺伝性身体疾患又は遺伝性畸形を有しているもの
三 本人又は配偶者が、癩疾患に罹り、且つ子孫にこれが伝染する虞れのあるもの
上記のように、対象者としては、精神病関係が殆どを占めているというのに、精神病者を除くのでは、3条本文と1号2号の意味が殆どない感じです。
タマタマ精神病者が普通に戻ったときに、そのときは精神病者ではないからその同意を得て本文で手術できる・・するように努力しなさいと言う規定だったのでしょうか?
ところでこれまで書いているように、戦後の優生保護法3条の特徴は、医師一人の判断で手術を実施してしまえるところです。
(戦前は申請主義でしたから、どこへ申請するのかは別として、第三者の判断・チェックが必須でした・・・05/17/08「国民優生法から優生保護法3へ」参照)
ですから、らい病の場合には、同意さえあればどこのチェックもなしに担当医師独断(療養所内部の外界と隔離されている刑務所のような施設・・・密室)で手術をしてしまえるという戦前よりも進んだ?規定になっているのです。
精神病の特徴といえるかも知れませんが、(あるいは統合失調症の中のある類型だけの特徴だったか正確には忘れました・・これも事務所に行かないと思い出せません)良くなっているときと悪くなったときが繰り返し来ることが多いのです。
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