05/24/08
具体的危険と不利益1(道路交通法2)
治療を受けるためには、入院したり医師の指示に従う義務がある点は、教育を受ける権利があっても、受ける以上は、その場のルールに従う・・先生の指示に従うのと同じです。
本人が意識不明のときなどもありますから、本人の意向を問題にせずに救急的に処置することがありますが、これは飽くまで、本人の為にすることであって、医師の個人利益を図るためにある権限ではなく、ましてや本人の利益と社会の利益を天秤にかけて、本人にマイナスなことを社会のため(社会優先)にするべきものではありません。
要は、肢体不自由児であれ何であれ、その能力・・不自由な程度に応じて必要な施設や教育プログラム・・支援策が政府に要求されるだけであって、それ以上に弱者であるからと言って、健常人以上の負担や虐待を受ける理由はないのです。
ただし、街中で狂人が刃物を振り回していれば、それが遺伝によるものであるとしても危険ですから社会は放置できません。
具体的危険があれば、話はまた別ですが、それは危険性の認定によるべきでしょう。
いわゆる旧法定伝染病の場合も、その危険性のゆえに隔離が許容されていたのですが、これも平成11年に廃止されて、感染症法となり、隔離期間が厳格に管理されることになっています。
伝染病法と感染症法の関係は、らい予防法が廃止されたことなどを受けて・・反省して出来た法律ですから「らい予防法」紹介の後に書きます。
具体的危険性がないのに、らい病のように遺伝性疾患?あるいは伝染性があると言うだけで、終身隔離をすることや生殖不能化手術を強制することが人道上許されるかが、今回のテーマです。
旧法定伝染病や刃物を現に振り回しているなどの社会に対する具体的危険性もないのに社会の都合に合わせるために、「みっともないから」と言う理由などで、永久的に隔離したり、隔離に応じない・・逃走すると懲罰するのは、人権侵害になるというべきでしょう。
具体的危険の有無による隔離については、精神保健福祉法の・・自傷他害のオソレ・・による措置入院制度と、実際に事件を起こしてしまった人に対する医療観察法制度がありますが、これについてはこの後、戦後の精神病法関係のコラムで説明します。
ちなみに、危険とは、まだ害悪の発生していない状態を表す言葉ですが、たとえば傷害とか交通事故などの具体的な害悪が今にも発生しそうな危ない状態を具体的危険と言い、これを処罰する法規・犯罪を具体的危険犯と言います。
これに対して、このように具体的危険まではいかない前段階・・こう言う状態を放置しているとそのうちに何等かの事故につながるのではないかと言う一般的な判断・・・これに基づく刑罰法規・・犯罪を抽象的危険犯といいます。
具体的危険が無くとも抽象的危険だけでも、処罰する刑罰の規定が沢山ありますが、一応抽象的でも一定の危険があるのが処罰の根拠です。
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