05/21/08

遺伝と差別1(憲法240)

密室隔離の問題から、話を戻しますと、ここは難しいところですが、「法・・社会意思でこれが犯罪だ」と決めているときに、刑法で、これに該当すれば死刑や服役がありうるとしても憲法違反ではないでしょう。

この発想が許されるならば、ナチス・ドイツの社会で

「ユダヤ人は存在自体が有害で、ユダヤ人は、見つけ次第ガス室に送り込んで死刑にすべきだ」

と言う法律(社会意思)があれば、ユダヤ人かどうかの認定さえ審査会や裁判所できっちりやれば、すなわち適正手続きさえ保障されているならば、アメリカ的人権保障のルールでは、適正な審査の結果、ガス室に送り込んでも何ら問題がなかったことになります。

優生保護法は民主的な国会で決めているから、内容如何にかかわらず

「本当にその法律で定めた精神病・あるいは、らい病かどうかさえ審査すればいいのだ」

と言うのと同じです。

刑法の場合、国民等しく適用されて、国民の自由な意思による選択でその行為をしたときに処罰されるのに対し、(犯罪者には犯罪行為をしないという選択肢があります)ユダヤ人のホロコーストの場合は、人種そのものが対象になっていて、各人に自由な選択権がないところが違うでしょう。

わが国の憲法でも、人種差別は違憲ですから、結局ホロ・コーストの法律が出来ても、憲法違反ですから、その法律は無効です。

憲法

第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

では遺伝的精神病その他の遺伝的疾患の場合はどうでしょうか?

遺伝であれば、生まれつきのことであって、各人に選択・努力改善の余地がない点を差別根拠にするのですから、門地、身分、性別、人種による差別とどこが違うのでしょうか?

上記の憲法の差別禁止の例示には遺伝疾患が入っていませんが、憲法制定当時アメリカ自身が遺伝疾患による優生手術を積極的に進めていた時代でしたから、遺伝による差別は不合理な差別からのぞかれたのでしょう。

この後にも書きますが、遺伝と遺伝でないと言う区別概念自体が不明瞭ですから、遺伝による差別を禁じると学業やテストの結果による差別、手先の起用不器用による差別も、几帳面か、根気がよいか誠実不誠実などもすべて親の遺伝の結果だとなってきて収拾がつかなくなってきます。

遺伝による差別を除いたのは、こうした配慮があったことは当然ですが、それだけではなく、アメリカ本国の政策の影響があって、遺伝関係による差別は、あえて除外されたのではないかと言う私の邪推です。

 



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