05/19/08
優生保護法7(審査会制度1)
第4条以下は、本人申請も同意も要らない代わりに、審査会の審査を得て実施オーケーになると実施出来る仕組み・・と言うことは、本人の意思を無視して、強制実施権があるということになるのでしょう。
その決定に不服な人は、公衆衛生審査会にさらに不服申し立てでき、それにも不服な場合裁判所へ訴え提起できるようになりました。
これはGHQの due process of law の思想では必須のことでしょうし、憲法の裁判を受ける権利の保障が必要になったからです。
第3条の場合には、医師が同意を得て手術できるのですが、それ以外の場合、たとえば別表の場合は、本人や関係者の同意も不要とし、その代わり適正手続き保障のために審査会制度を導入した次第です。
「最終的に裁判所が関与するならいいだろう」・・適正手続き(due process of law)を重視するのが、アメリカ流人権思想ですが、内容目的がどうであれ、手続きさえ適正なら良いと言うのは形式的過ぎます。
due process of lawとは、内容が正しくとも国家が、due process of lawに反しているときは処罰出来ないというルールであって、手続さえ適正ならどんなことで処罰してもいいと言う原則でありません。
ところで、審査の審議事項や審査会決定に不服があるときの出訴権は、そもそも、本人の真意確認のためでは無く、特定疾患に罹病しているか否かの事実確認が主たるテーマであって、セイゼイ社会のために有益かどうかの議論がおまけにある程度ですから、それでは戦前のナチス張りの民族浄化策と変りません。
精神病者でも芸術方面で立派な業績を残す人が、結構いるのはご存知のとおりで、戦前にも、これだけは例外にしていたのです。
戦後は、この但し書きが無くなりましたが、その代わり「公益上の必要性」と幅が広くなりました。
国民優生法の2条但し書きと優生保護法の4条を比較してください。
国民優生法
第二条 本法ニ於テ優生手術ト称スルハ生殖ヲ不能ナラシムル手術又ハ処置ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ謂フ
第三条 左ノ各号ノ一ニ該当スル疾患ニ罹レル者ハ其ノ子又ハ孫医学的経験上同一ノ疾患ニ罹ル虞特ニ著シキトキハ本法ニ依リ優生手術ヲ受クルコトヲ得但シ其ノ者特ニ優秀ナル素質ヲ併セ有スト認メラルルトキハ此ノ限ニ在ラズ
優生保護法
(審査を要件とする優生手術の申請)
第四条
医師は、診断の結果、別表に掲げる疾患に罹つていることを確認した場合において、その者に対し、その疾患の遺伝を防止するため優生手術を行うことが公益上必要であると認めるときは、都道府県優生保護審査会に優生手術を行うことの適否に関する審査を申請しなければならない。
(優生手術の審査)
第五条
1
都道府県優生保護審査会は、前条の規定による申請を受けたときは、優生手術を受くべき者にその旨を通知するとともに、同条に規定する要件を具えているかどうかを審査の上、優生手術を行うことの適否を決定して、その結果を、申請者及び優生手術を受くべき者に通知する。
2
都道府県優生保護審査会は、優生手術を行うことが適当である旨の決定をしたときは、申請者及び関係者の意見をきいて、その手術を行うべき医師を指定し、申請者、優生手術を受くべき者及び当該医師に、これを通知する。
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