05/15/08
大正の精神病院法1(公立病院設置)
話を精神病関係に戻しますと、慈善団体運動の成果もあって?民間の力で何とかしようとするのではなく、大正8年の精神病院法・・公立病院設置の法律が成立します。
この運動は、、監禁されている病者・慈善運動に名を借りただけ・・もしかしたら、精神病者を抱える家族の経済的悲鳴に応える政治運動の表向きの主張だった可能性のほうが高いのです・・・。
そういう発想の運動では、病院さえ出来れば良しとして終わりですから、そこでの待遇改善・・・病院に隔離されたものの人権救済には目がいきません。
お金のある人は、民間の私立病院へ入院させることが出来るでしょうから、ここでの問題はお金がなくて面倒見切れない人たちの救済が目当てです。
今で言えば、民間アパートを借りられない低所得者向けの公営住宅供給運動や老人ホーム設置運動に似ています。
第2条の要件を見れば、第1号は、多分監護すべき身寄りのない者のことでしょうし、第2号は後に紹介する現在の心神喪失者等観察法の前身のような規定です。
3号は「「療養の途なき」というのですから、身寄りはいるがお金が続かない場合でしょう。
第4号は、その他の事態に備えた予備的規定です。
年表と合わせて精神病院法も紹介します。
年表
大正8年(1919)
精神病院法公布、私宅監置中心を病院における医療重視に改める意図で、道府県立精神病院の設置をうたったが、戦争の勃発により十分に効果をあげなかった。
精神病院法(大正8年法律第25号)(中野の文庫からの引用です。)
第一条 主務大臣ハ北海道又ハ府県ニ対シ精神病院ノ設置ヲ命スルコトヲ得
第二条 地方長官ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル精神病者ヲ前条ノ規定ニ依リ設置スル精神病院ニ入院セシムルコトヲ得
一 精神病者監護法ニ依リ市町村長ノ監護スヘキ者
二 罪ヲ犯シタル者ニシテ司法官庁特ニ危険ノ虞アリト認ムルモノ
三 療養ノ途ナキ者
四 前各号ニ掲クル者ノ外地方長官特ニ入院ヲ必要ト認ムル者
2 前項ノ規定ニ依り精神病者ヲ入院セシムルニハ命令ノ定ムル所ニ依リ医師ノ診断アルコトヲ要ス第三条 国庫ハ勅令ノ定ムル所ニ従ヒ第一条ノ規定ニ依リ設置スル精神病院ノ経費ニ対シ六分ノ一乃至二分ノ一ヲ補助ス
第四条 第一条ノ規定ニ依リ設置スル精神病院ノ長ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ入院者ニ対シ監護上必要ナル処置ヲ行フコトヲ得
第五条 地方長官ハ入院者ヨリ入院費ノ全部又ハ一部ヲ徴収スルコトヲ得地方長官入院者ヨリ徴収スルコトヲ得スト認ムルトキハ其ノ扶養義務者ヨリ之ヲ徴収スルコトヲ得
2 前項費用ノ徴収方法ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム第六条 道府県ニ於テ設置スル精神病院ニシテ地方長官ノ具申ニ依リ主務大臣ニ於テ適当ト認ムルモノハ第一条ノ規定ニ依リ設置スルモノト看做ス
第七条 主務大臣必要ト認ムルトキハ期間ヲ指定シ適当ト認ムル公私立精神病院ヲ其ノ承諾ヲ得テ第一条ノ規定ニ依リ設置スル精神病院ニ代用スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第二条乃至第五条ノ規定ヲ準用ス
第八条 本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ノ執行ニ関シ行政官庁ノ処分ニ不服アル者ハ訴願スルコトヲ得行政官庁ノ違法処分ニ由リ権利ヲ傷害セラレタリトスル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ各条ニ付之ヲ定ム
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