05/26/07

現地生産化の進行と加工貿易の運命1(先行者利益の寿命)

前回紹介した国際収支表を見れば分かるように、貿易黒字が減少傾向にあって、他方で、増加傾向にあった所得収支の方が、今では絶対額のほうでも逆転しているのです。
2月21日・・・2に少し書きましたが、明治以来、日本経済は加工貿易の黒字で必要な資源を輸入して成立っているのですが、将来的に消費地あるいは資源生産地での現地生産主義が進行していくとすれば、日本だけでなく世界全体として加工貿易立国の将来性・・存在感は低くなる一方でしょう。
産業革命の「革命的」効果が大きく、先行者利益の享受時間が長かったので、先進国では世界の工場として長く栄え、加工貿易が永遠に続くような錯覚に陥っていただけです。
そのために、先進国では加工貿易(生産国として)用に人口も増えて来たのです。
これが、先行者の技術が消費地に隈なく開放され、各地に産業革命の成果が分散されていくことを消費地生産主義といっているのでしょう。
したがって、消費地生産時代とは、約200年に及んだ先行者利益が消滅に向かう時代と言う意味でもあります。
ところで、産業革命の効果が長かったと言っても、たかだか数百年のことですから、数千年単位であったメソポタミアとかエジプト〜ギリシャ〜ローマの時代から見れば、ほんのちょっとの期間に過ぎません。
古代メソポタミア文明が中国に伝播したのには、約2〜3000年以上もかかったことを、09/01/05「中国の独自性とは?2(中国の発展形態の異常性1)」前後で書いた事がありますが、それに比べれば今回の200年に及ぶ先行者期間は十分の1の期間に短縮されたのです。
加工貿易立国が成り立つのは、資源産地や消費地での生産技術よりも、加工貿易国の生産技術が格段に優れていることが前提条件です。
(少しの差・・たとえば単位生産コストが100対98くらいしかないならば、資源産地や消費地に近くで生産するほうが合理的です)
2月24日・・・1 「キャピタルゲインの時代8と修正作用4(文明の興亡1)」で少し書きましたが、先端技術の再生産が滞ると、先進国の優位性が失われるのです。
09/08/05「ローマ帝国の滅亡3(商業国家から農業社会へ)前後で書きましたが、先端技術が世界に行き渡ると、その後は農業社会化・・現在では農業に限りませんが、長期間の自給自足社会(・・これが本来の姿でしょう)が到来するのです。
メソポタミヤ文明やペルシャ・ローマの時代が長かったのは、周辺に行き渡るのに長期間を要したからに過ぎません。
これが周辺に行き渡り文化水準が平準化してくると、ローマなどの特別な都会の存在価値がなくなってローマが滅びるべくして滅びたのです。
その後自給自足社会が長く続いていましたが、ルネッサンス〜産業革命以降再び世界的格差拡大が、らせん状に生じたので、貿易が活発化し、さらには戦争が続く時代になったのでしょう。
こうした観点から、09/08/05「ローマ帝国の滅亡3(商業国家から農業社会へ)」ギリシャからローマへ、或いはローマとカルタゴ」と言うテーマで既に書いていますので参照してください。



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